大学卒業後、2019年4月に湖池屋に新卒入社。同7月に人事部に配属され、新卒採用の主担当者となる。採用方針の策定、採用企画の立案・運用、採用実務まで幅広くこなす。現在はキャリア採用、人材研修にも携わっている。
本田 なるみNarumi Honda
株式会社湖池屋
人事部 人材マネジメント課
大学卒業後、2019年4月に湖池屋に新卒入社。同7月に人事部に配属され、新卒採用の主担当者となる。採用方針の策定、採用企画の立案・運用、採用実務まで幅広くこなす。現在はキャリア採用、人材研修にも携わっている。
日本初のポテトチップスの量産に成功した株式会社湖池屋は、激辛ブームを巻き起こしたカラムーチョをはじめ、すっぱムーチョ、ポリンキーなど数々の独創的なロングセラー商品を生み出してきました。近年は「湖池屋プライドポテト」など、かつてなかった高付加価値商品をヒットさせることで業界の常識を塗り替えています。そんな同社が人材採用において掲げるのも「未常識を形にする」というメッセージ。企業理念に共鳴し、自主的に「新しい常識」を創り出す力を秘めた人材と出会うため、同社ではコロナ禍においても徹底して学生とのコミュニケーションに注力したといいます。どのようにそれを実現したのか、入社1年目から新卒採用に奮闘する本田様にお話を伺いました。
はじめに、本田様のこれまでのキャリアについて教えていただけますか?
私は大学卒業後、2019年4月に当社へ新卒入社しました。同7月に人事部に配属され、すぐに新卒採用の主担当を任されました。具体的な業務は、採用方針の策定、採用企画の立案・運用、そして学生とのコミュニケーションなどの実務全般です。新型コロナウイルスの流行にともなう採用計画の変更や、当社では実施経験の少ないインターンシップの企画なども担当しました。
新卒入社1、2年目とは思えないほど、非常に裁量の大きい仕事を担当されていますね。
当社では、あえて若い社員を新卒採用のメイン担当者にする方針をとっています。学生に近い目線でアイデアを出し、コミュニケーションを取れるメリットがあるからです。
あらためて、貴社についてご紹介いただけますか。
当社は1953年に創業し、1962年に日本で初めてポテトチップスの量産化に成功したスナック菓子メーカーです。その後もカラムーチョやスコーン、ポリンキーなど独創性のある商品を作り続けてきましたが、2016年に佐藤章が代表に就任したのを機に、社名を「フレンテ」から現在の「株式会社湖池屋」に統合し、ロゴマークを刷新するなど、大幅なリブランディングをおこないました。商品面においては、低価格競争が続くポテトチップスの市場で「湖池屋プライドポテト」などの高付加価値商品を投入し、プレミアムスナック菓子という新分野を開拓しました。さらに近年は、大豆たんぱく質で作った「罪なきからあげ」や時間や場所を選ばず食べられる「HASHED POTATO」など、スナック菓子の枠を超えた食品も開発しています。
一貫して「業界初のビジネスに挑戦し続けている会社」という印象を受けます。やはりそのことは、採用方針ともつながっているのでしょうか。
はい。「スナック菓子の世界ではあり得ないこと」に挑み続ける姿勢は、会社として譲れないものだと考えており、新卒採用においても「未常識を形にする」というコンセプトを掲げています。「未常識」という造語には、「今までは常識ではなかったことを、自分たちの力で新しい常識にする」という想いが込められています。
貴社では大手就職ナビよりも、自社採用サイトを重視した採用戦略を取られていますね。
就職ナビにも情報を掲載してはいるのですが、採用サイトに力を入れて制作しています。学生からのエントリーも自社サイトを通じておこなっています。
珍しい事例だと思うのですが、どのような意図によるのでしょうか。
湖池屋の自社サイトに辿り着く方は、自ら情報を得ようとアクションしている分、当社への関心が強い傾向にあると思いますし、私たちもそうした自発性の高い人材と出会いたいと考えています。
自社サイトから母集団を形成できるというのは素晴らしいですね。
とはいえ、せっかくたくさんの学生が採用サイトに来てくれても、マッチングできなければ意味がないので、採用サイトや応募者限定のマイページは毎年労力をかけて、ありのままの魅力が伝わるものを作ろうと頑張っています。
採用広報制作において、具体的にどのような工夫をされたのか、お聞かせください。
特に注力しているのは、マイページの社員紹介です。当社では毎年さまざまな職種の社員に登場してもらい、仕事内容や会社の魅力、就活生へのメッセージを語ってもらっています。ちなみに、社員紹介の文面はすべて登場する本人に書いてもらっています。「こんな風に書いてほしい」といった指示は一切しませんし、原稿の修正もほぼしません。社員のメッセージを、生のままお伝えしたいからです。どの原稿もかなり長く、熱い内容になっていて、湖池屋のリアルな魅力が伝わるものになっていると思います。
2021採用は新型コロナウイルスの流行時期と重なりました。貴社ではどのような影響を受け、どのような対応を取られたか、お聞かせいただけますか。
全面的に採用フローを見直す必要があり、非常に苦労しました。面接をオンライン化することは可能だとしても、集団面接やグループワークはオンラインで効果を得るのが難しい。それに代わって、学生の個性を引き出す手法を考える必要がありました。
そのためにどのような施策を実行されましたか?
面接の前段階で、例年にはない動画選考をおこないました。あなたのことがわかるような2分以内の動画を自由に作ってください、という課題です。
通常の動画選考では、面接に近い形式で質問項目を設定し、それについて話してもらうことが多いと聞きます。テーマが自由というのはユニークですね。
テーマが自由であるほうが、より学生の個性が伝わりやすいと考えたためです。事実、お送りいただいた動画は本当に多彩でした。ユニフォームを着て部活で頑張ったことを話す、といったものから、さまざまな場所で友人・知人がその学生について話している姿を編集したもの、中にはキッチンでお菓子をひたすら作っている様子を撮影した動画までありました。独創的な動画からは、その人の個性や入社意思の強さが伝わってきたことはもちろん、当社について考えてもらう時間が多くなったことで、結果的に応募者本人のロイヤリティ向上にもつながったと感じており、歩留まりの観点からも非常に有意義な選考だったように思います。
その他に、課題と感じた部分はありましたか?
毎年、当社の採用では学生とのコミュニケーション、そして価値観のマッチングを最も重視しています。そのためには、学生を知るだけではなく、学生にも当社のことをよく知ってもらわなければなりません。ところが今年は、実際に会社に足を運んでもらうことができませんでした。直接来社せず、いかに当社の社風を感じ取っていただくかは、大きな課題でした。
その課題はどのように解決されたのでしょうか。
とにかくたくさん動画を配信しました。通常のWebセミナーはもちろんですが、現場の各部署にも協力を要請し、多数の社員に出演してもらいました。ちょうど研修中だった新入社員にも出演してもらいましたね。さらに、選考とは別のオンライン座談会やオンライン面談も回数を増やし、こちらも現場の社員に参加してもらいました。昨年と比べて倍以上の社員に協力してもらい、結果的に例年以上に豊かなコミュニケーションが取れたのでは、と考えています。おかげさまで採用目標も無事達成できました。
内定者とのコミュニケーションも、オンラインで実施されているそうですね。
はい。まず、内定式はすべてオンラインでおこないました。例年、人事との個人面談の合間を縫って実施しているグループワークは、内定者が心から交流を楽しめることを第一に考え、カジュアルな内容に振り切って企画をしました。内定者フォローについては、オンライン工場見学などのイベントを毎月実施する予定です。対面で会えないことによる同期間の関係性の希薄さや、働くイメージが具体的に持てないことで感じてしまいがちな不安を解消できるよう、定期的に交流の機会を設け、同時に企業理解も深められる施策が重要だと考えています。
月に1回のイベントの他にも、内定者課題の提出やWeb上の掲示板を活用した内定者の個人間のコミュニケーションなど、これから湖池屋の一員になるという意識を醸成してもらうために、継続的なつながりを感じられる施策をおこなっています。
今年の採用を踏まえ、今後の採用活動の展望についてどのようにお考えでしょうか。
2021年卒採用ではやむを得ずオンラインを取り入れたわけですが、結果的にはオンラインならではの利点もたくさんあったと感じています。物理的な壁が取り払われ、地方在住の学生の負担が減ったことは特に有意義でした。一方、私たちが大切にしている「コミュニケーション」や「価値観のすり合わせ」をどのように守るかは、引き続き工夫が必要だと感じています。
ただ、新たな技術を取り入れることによって、一概にその質が下がるとは考えていません。確かにオンラインを介してのコミュニケーションは、表面的に人間味は薄れるかもしれません。しかし、今年の内定者を見ていて分かることは、例年と比較しても決して企業理解は浅くない、ということです。湖池屋の魅力をよくわかったうえで入社を決めてくれているな、と感じますし、もちろん私たち採用担当も、彼らが当社で活躍してくれると自信を持って採用しています。
手法が変わっても、採用活動へのこだわりは変わらない、ということですね。
おっしゃる通りです。工夫次第で最新技術によって無駄のない効果的な採用活動ができると考えています。対面でアナログな選考をするにしろ、リモートやAIを活用したデジタルな選考をするにしろ、最も重要なことは、学生一人ひとりと真摯に向き合うこと、そしてそれを学生に感じてもらうことだと感じています。環境やトレンドが変わってもそこは見誤らず、今後も採用活動をおこなっていきたいですね。
Special Feature 01
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