2000年に新卒入社。社員食堂部門にて運営に従事したのち、2005年より総合職の採用を担当。2009年に現場に戻り、フードサービスの企画運営をトータルプロデュースするマツダスタジアムの立ち上げに参画し、以来、スタジアムのフードサービスを手掛ける。2022年より現職。採用およびキャリアデザインを統括している。
RECRUITMENT
Published on 2026/03/30
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山内 友和Tomokazu Yamauchi
エームサービス株式会社
リクルート&キャリアデザイン推進部
部長
2000年に新卒入社。社員食堂部門にて運営に従事したのち、2005年より総合職の採用を担当。2009年に現場に戻り、フードサービスの企画運営をトータルプロデュースするマツダスタジアムの立ち上げに参画し、以来、スタジアムのフードサービスを手掛ける。2022年より現職。採用およびキャリアデザインを統括している。
三井物産100%子会社であるエームサービスは、企業の社員食堂をはじめ、学校、病院、福祉施設、スポーツスタジアムなど、多彩な領域を対象にフードサービスを提供しています。新卒採用では、事業とのマッチングや入社後の活躍度を高めることを目的に、2022年より新たな適性検査とコンピテンシー面接を導入しました。その結果、内定辞退率・離職率の大幅な低下を実現しています。採用改革を主導した山内部長に、コンピテンシー採用成功の背景とポイントについて伺いました。
まずは、貴社の事業内容についてご紹介いただけますか。
エームサービスは1976年に三井物産の社員食堂運営からスタートした会社で、2026年には設立50周年を迎えます。現在は三井物産100%子会社として、企業の社員食堂をはじめ、学校、病院、福祉施設、スポーツスタジアムなど、多彩な領域を対象にフードサービスを提供しています。子会社の実績も含めると対象施設は約3,500カ所に上り、1日あたり約140万食の食事を提供しています。
新卒採用では、どのような人財を求めていらっしゃいますか。
例えば、かつて社員食堂は、単なる福利厚生の一環として捉えられていました。しかし、ESG経営が重視される現在では、「食」をつうじて社員の健康や多様性、環境への配慮など、さまざまな価値を創出することが求められています。また、リモートワークが浸透したことで、社員食堂はエンゲージメント向上の場としても再評価されています。こうした複合的なニーズに応えるためには、高度なマネジメント力を発揮し、企業の経営課題を解決できる人財が欠かせません。「食」をつうじて社会を変えていこうという挑戦心を持つマネジメント人財こそが、当社の求める人物像です。
新卒採用において、特に重視されている点は何でしょうか。
事業とマッチする人財を採用するために、応募者の適性を丁寧に見極めることを重視しています。そこで私が2022年に着任して以降、適性検査の見直しと、コンピテンシー面接の導入を行いました。現在はこれらの手法を活用し、コンピテンシー、すなわち入社後のパフォーマンスの高さにつながる力を重視した採用を実践しています。
コンピテンシーを採用の軸とされた決め手は何だったのでしょうか。
実は私は2005年から数年間、採用業務に携わっていました。その当時、コンピテンシー面接を導入し、大きな成果を得た経験があります。当時行っていたのは一般的な面接で、「志望動機」や「当社への理解」、「入社後の意気込み」などを主に質問していました。しかし、その結果として採用された社員の中には、早期に離職するケースや、十分にパフォーマンスを発揮できないケースも見受けられました。そこで導入したのが、入社後の行動や成果に着目するコンピテンシー採用です。
その際の成果はいかがでしたか。
採用の質は大きく向上しました。当社にマッチする人財を多く採用できたことで、離職率は目に見えて低下し、当時入社した社員の中には、20年以上が経過した現在、会社の中核で活躍している人財が数多くいます。しかし、私が2009年に採用業務から離れた後、コスト面などの理由から適性検査や面接手法が変更されました。その結果、離職率は再び高まり、近年では内定辞退率の高止まりも課題となっていました。そこで、私が採用に復帰したタイミングで、コンピテンシー採用を再開したのです。
選考プロセスにおいて、コンピテンシー面接はどのように実施されていますか。
当社では三段階の面接を実施しています。一次面接は採用チーム、二次面接は現場社員、三次面接は役員が担当します。このうち一次面接がコンピテンシー面接で、応募者一人あたり40~50分をかけて話を伺っています。
一次面接で40~50分というのは、かなり丁寧ですね。具体的にはどのような内容なのでしょうか。
「学生時代に、どのように成果を発揮してきたか」を徹底的に深掘りします。学業、サークル活動、課外活動、アルバイトなど、題材は問いません。単に「頑張りました」で終わらせるのではなく、目標達成に向けてどのように主体的にPDCAサイクルを回してきたのかを丁寧に引き出します。また、当社の事業は多くのスタッフを巻き込むリーダーシップが求められるため、「どのように周囲を巻き込んできたか」という点についても確認しています。面接担当者は全員、コンピテンシー面接に関する専門書を熟読し、十分なトレーニングを受けた採用担当です。
貴社では面接前に適性検査を実施されているとのことですが、どのように活用されているのでしょうか。
適性検査では、コンピテンシーの把握を中心に、コーピング(ストレス対処)、チーム・コミュニケーション、ジョブ・クラフティングなどを測定しています。主な目的は足切りではなく、面接で情報を補完することです。限られた時間の中で応募者のすべてを見極めることは難しく、どうしても人の主観による偏りが生じます。そうした偏りを補完する手段として、科学的に設計された適性検査は有効だと考えています。また、適性検査で気になる項目があった場合には、その点を面接で重点的に深掘りすることで、面接の質を高めることもできます。
適性検査と面接を組み合わせたコンピテンシー採用の成果について、どのように評価されていますか。
私が採用方針を見直してから3~4年ほどですが、すでに顕著な変化が表れています。まず、平均で約30%を超えていた入社3年以内の離職率は、20%以下に改善しました。また、80%を超えていた内定辞退率も50%以下まで低下しています。中長期的な成果は今後の検証が必要ですが、現時点でも多くの社員が現場でいきいきと活躍しているという報告を受けています。
内定辞退率が大幅に改善された点も印象的です。内定者は、貴社のどのような点を評価しているのでしょうか。
多くの内定者から「面接が良かった」という声をいただいています。単に「面接担当者の印象が良かった」という曖昧な評価ではなく、「これまで自分が頑張ってきた経験を深く聞いてもらえたこと」や、「その経験がエームサービスの仕事でどのように活かせるのかを具体的に示してもらえたこと」が高く評価されています。
コンピテンシー面接が、学生の惹きつけにもつながっているのですね。面接以外では、学生との接点をどのように設計されていますか。
例えば、オープン・カンパニーでは「マネジメント」「マーケティング」「新規営業開発」の3コースを用意しており、すべてに参加した学生は社長とのオンライントークセッションに招待しています。また、最終面接前には採用チームから学生一人ひとりに手紙をお送りしています。これまでの選考で評価した点や、将来に向けた期待を伝え、応援のメッセージを届ける取り組みです。さらに、内定後に現場でアルバイトができる制度(希望制)も設けており、納得した上で入社いただける仕組みを整えています。
面接だけでなく、多角的な取り組みが奏功しているのですね。採用業務のやりがいについては、どのようにお考えですか。
内定承諾をいただいたときももちろん嬉しいですが、やはり採用した社員が入社後にパフォーマンスを発揮してくれたときに、最もやりがいを感じます。私自身、20年前に採用した社員が現在も活躍している姿を見られていることは、非常に幸運だと感じています。今でも当時の面接内容をよく覚えていますし、彼らも「印象に残る面接だった」と話してくれます。これから採用する人財にも、将来そうした存在に成長してほしいと考えています。
最後に、今後の採用活動に向けた目標や展望をお聞かせください。
近年は新卒採用に加え、多様な採用手法にも積極的に取り組んでいます。例えば、アルムナイ採用やリファラル採用です。特にパート社員については、すでに1割以上が紹介によって入社しています。また、栄養士・調理師を対象としたキャリア採用の強化にも注力しています。新卒採用に関しては、今後データの蓄積と分析が重要なテーマになると考えています。適性検査のスコアと入社後パフォーマンスの相関について、より詳細が明らかになれば、さらに精度の高いマッチングが実現できるのではないかと期待しています。

Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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