2013年、新卒入社。小売業・運輸業のクライアントに対する、DX支援を中心とした課題解決に取り組んだのち、2022年7月より現職。新卒採用チームのリーダーとして採用活動全般の企画・運営に取り組む。
野田 裕太Yuta Noda
株式会社野村総合研究所
人事部採用課
2013年、新卒入社。小売業・運輸業のクライアントに対する、DX支援を中心とした課題解決に取り組んだのち、2022年7月より現職。新卒採用チームのリーダーとして採用活動全般の企画・運営に取り組む。
田山 友紀Yuki Tayama
株式会社野村総合研究所
人事部採用課
2016年、新卒入社。金融系のクライアントを対象としたシステム開発に携わり、チームリーダー、プロジェクトマネージャーとして経験を積む。リクルーティングプロモーターとして学生向けのイベントに登壇したことがきっかけで人事に興味を持ち、2022年4月より現職。新卒採用の企画・運用に取り組む。
日本初の本格的な民間総合シンクタンクとしてスタートし、経営コンサルティングとITソリューションを組み合わせたサービスで圧倒的な強みを持つ野村総合研究所(以下、NRI)。新卒採用では時期ごとの学生のニーズを分析し、自社に興味を持ったタイミングにかかわらず、公平に企業理解を深めてもらうことを目指しています。プレエントリー者全員を対象とした「NRI ITフェス」、現場体験型インターンシップ、さらにはインターンシップ応募者限定セミナーなど、応募者との接点となるイベントを倍増させた効果とは?「NRIの堅いイメージを払拭し、価値観の共有を図りたい」と語る採用チームの二人にお話を伺いました。
まずは改めて、貴社の事業についてご紹介いただけますか。
野田:
野村総合研究所(以下、NRI)は、経営コンサルティングとITソリューションという二つの事業を組み合わせてお客様の経営課題を解決しています。当社は日本初の本格的な民間総合シンクタンクであると同時に、ITの黎明期からITソリューションに取り組んできた実績があります。この二つのサービスを一気通貫で提供できる点が当社の強みとなっています。
長年にわたり、貴社は『未来創発』という理念を掲げており、NRIグループ全体の企業理念としてもその言葉が浸透していますね。
野田:
現代社会は不確実性が高まり、未来を予測することが非常に難しい時代です。だからこそ、誰にも見えない未来をお客様と共に考え、切り拓いていきたいという思いがこの言葉には込められています。未来を予測するというシンクタンクの機能と、ITを駆使したソリューション提供を通じて、数十年にわたりお客様に寄り添い続けてきた当社ならではの理念だと考えています。
採用サイトのトップにも『未来創発』という言葉を掲げていますが、学生に向けてもこの企業理念をアピールしている理由についてお聞かせください。
野田:
ともに働く上で、価値観の共有は非常に重要だと考えているためです。当社ではお客様の課題が何かを自ら考え、実行していくことが求められます。自分たちの手で未来を切り拓くという理念は、働き方そのものにも直結しています。
貴社では、採用フローの中でどのように接点を設計し、応募者の理解度・志望度の向上を図っていらっしゃいますか。
野田:
年間を通じて「学生にさまざまな気づきを得てほしい」という思いのもと、採用フロー全体を意識した接点づくりを行っています。単発のイベントを企画する際にも、次のイベントに参加したいと思ってもらえるよう工夫しています。採用管理システムを使い、年間のイベント参加数や歩留まりの推移を分析し、「この時期に興味が薄れる学生が多い」ということがわかれば、イベントを強化するなど、常に改善を行っています。
田山:
「時期ごとに学生がどのようなことを考えているか」についても分析しています。例えば大学3年生の春ごろはまだ就職活動を始めたばかりの学生が多いですが、夏期インターンシップの時期には企業研究をある程度深めている学生が増えます。一方で、就職活動をマイペースに進める学生の中には、秋ごろに企業研究を始める人もいるでしょう。当社に興味を持ったタイミングにかかわらず、公平に間口を広げたいと考えています。そのような背景から、この2年ほどでイベント開催数をおよそ倍に増やしました。
イベント数を2倍に増やすというのはすごいですね。新しいイベントの中で、特に注力されているものについてご紹介いただけますか。
田山:
2025シーズンより、マイページにエントリーした方全員を対象とした「NRI ITフェス」を企画・実施しました。産業系・金融系合わせて10以上の事業本部から3名ずつ社員を選出し、各本部の説明を行うという内容で、学生は自分の興味のある事業本部の説明を自由に聞きに行くことができます。リアル開催では大きめのホールを使用して事業本部ごとのブースを出すので、ちょうど合同説明会のような雰囲気ですね。リアル開催では午前午後の二部制でそれぞれ200名程度の学生に参加いただき、オンライン開催では1000名以上参加いただきました。
参加する学生数・社員数ともに大規模なイベントですね。この企画を実施した理由はどのようなものですか?
田山:
従来も会社や仕事を紹介する1dayイベントを行っていましたが、限られた時間では接点として不十分なのではないかという課題がありました。当社の場合、クライアントの業界ごとに事業本部があり、仕事内容ややりがいも多様ですが、それを直接丁寧に説明する機会が少なかったのです。「NRI ITフェス」では実際に各事業本部の若手と中堅社員が実体験に基づいて話をするので、学生からは「NRIの具体的な働き方や社員の考え方が伝わった」というポジティブな声が多く寄せられました。また、冬期インターンシップの面接時に学生と話していると、「ITフェスで知った○○の業務を体験してみたい」という具体的な希望を伝えてくださる方が多く、企業理解が深まったことが窺えました。
NRIの社風を伝える、という点での効果はいかがでしたか。
田山:
ITフェスに限らず、どのイベントでも「もっと硬い会社だと思っていましたが、今日のイベントで印象が変わりました」という感想をいただきますね。
野田:
報道番組などに出演するNRI社員は、非常に真面目で信頼感がありますね。そのため少しお堅い社員が多いのかな、という印象をいだく方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それだけではなく、お客様の課題や想いをしっかりと引き出すために、多彩な魅力を備えた社員がたくさんいます。そうした社員たちの素晴らしさをお伝えするために、イベントではできるだけ多くの社員に登壇してもらっています。
貴社では現場参加型のインターンシップを長らく実施されているとも伺いました。これはどのような内容ですか?
野田:
現場の一チームに参加し、社員とともに顧客の課題解決に取り組むというリアルな仕事体験です。コースによって日数は異なりますが、ベーシックなもので5日間となっています。学生の成果物が実際の業務に活かされることもあるほど、実践的な内容です。
どのコースに参加するかは学生自身が選択するのですか?
野田:
学生の意見はもちろん参考にしますが、学生の特性に合わせ、一人ひとりの成長に最大限資するよう配慮して部署・チームを選定しています。例えば情報系ではない学生にあえてシステム開発に参加してもらい、「ITソリューションは、パソコンにずっと向かっているわけではなく、お客様と話し、課題解決する仕事である」ことを学んでもらったりするわけです。学生がモチベーションを保てるよう、人事からのフォローも行います。
田山:
以前、ITの知識がない建築系の学生がインターンシップに応募してくれたことがあり、その方のチャレンジングな特性を見込み、あえてITの中でも専門性の高いセキュリティ部門の職場体験をしてもらいました。その結果「もともとITには興味がなかったのですが、やってみるととても楽しかったです!」と新たな自分を発見してもらうことができ、嬉しく思いました。
野田:
インターンシップが楽しかったと言ってくださる参加者はとても多いです。口コミを通じて、翌年に後輩の子が受けに来てくれるというケースもよくあります。我々人事にとってやりがいを感じる瞬間の一つですね。
先ほども少しお話がありましたが、夏期インターンシップの不参加者向けのフォローも手厚く行われているのですね。
野田:
インターンシップは参加人数が限られているため、残念ながら参加できなかった方の中にも、当社にマッチする可能性のある人材はたくさんいると思います。そこでインターンシップに参加できなかった方を対象に開催しているのが、オンラインセミナーです。セミナーでは、自分の魅力が伝わるエントリーシートの書き方や面接での話し方をレクチャーし、「改善点が見つかり、冬期インターンシップでリベンジしようと思った」など、前向きな感想を多くいただいています。
多彩なイベントを駆使して学生との接点を増やしていることがよくわかりました。イベントを倍増した効果はいかがでしょうか。
野田:
プレエントリー数、イベント応募数、本選考応募数、そして採用人数もすべて増加傾向にあります。
採用チームの努力の結晶ですね。ところでお二人は採用活動のどのような点にやりがいや喜びを感じられていますか。
田山:
当社の採用チームは個々の裁量権が大きく、人事経験が浅くても新しいイベントの企画などを積極的に手掛けることができます。先ほどお話しした「ITフェス」のように、自分のアイディアが形になり、学生の皆さんから評価いただけたときに、やりがいを感じますね。
野田:
私は、学生の人生に寄り添うことができたと感じる瞬間が人事の醍醐味だと思います。インターンシップから内定式まで、およそ1年間にわたって学生の成長を見られるのももちろん嬉しいですが、最終的に入社に至らなかった方と過ごした時間にもやりがいを感じます。例えば以前、ある学生が内定辞退の際、「野田さんに直接お伝えしたい」とわざわざ会社に来てくれたことがありました。入社いただけないのは残念でしたが、その方が本当にやりたいことを見つけて決断できたこと、そして私がその人生の岐路に立ち会えたことを嬉しく思えたのです。
最後に、今後の採用活動に向けての目標を教えてください。
田山:
採用の長期化に伴い、応募者との関係をいかに持続していくかが課題となっています。例えば例年、夏期インターンシップ落選後にご縁がなくなってしまうケースが多いので、インターンシップに応募いただいた方限定のセミナーを開き、引き続き当社に興味を持っていただけるように工夫をしています。また、今年からはインターンシップ前に説明会を開き、早めに当社の魅力を知ってもらえるような施策にもチャレンジしています。一つひとつのコンテンツの充実度に加え、今後も本選考までの期間に興味を持ち続けてもらうため、効果的なイベント設計を考えたいと思います。
野田:
当社の魅力を早い段階で知っていただくという意味では、今後は大学1、2年生向けのイベントも企画したいと考えています。限られたマンパワーで最大限の成果を出すために、採用業務の効率化にも取り組みたいです。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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