人事、福祉職を経て2019年9月に入社。新卒採用、研修、人事評価を担当している。
RECRUITMENT
Published on 2024/01/12
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谷口 真衣音Maine Taniguchi
株式会社東京商工リサーチ
管理本部 人事部
人事、福祉職を経て2019年9月に入社。新卒採用、研修、人事評価を担当している。
東京商工リサーチは、創業130年超という長い歴史を持つ信用調査会社です。圧倒的な実績と信頼を強みとする一方、ニッチな業種ゆえに、採用市場における知名度は決して高くないという課題がありました。しかし、そんな状況は変わりつつあります。長い選考期間をカバーするコミュニケーション戦略と、マイページを軸とした積極的なコンテンツ戦略を展開し、現代の学生に寄り添う採用を実現しているのです。これらの先進的な採用戦略を指揮してきたのが、2019年にキャリア入社した人事部の谷口様。多忙な人事業務の中、いかにして新しい採用戦略を実現したのか。お話を伺いました。
まずは貴社の事業について、改めてご紹介いただけますか。
当社は企業信用調査を行っている会社です。具体的には、全国の支社店に在籍している調査営業職が企業の経営に関する情報をヒアリングし、その情報をもとに企業の信用を評価してデータベース化しています。この信用情報を、商取引を検討している企業の他、マスコミ、官公庁などに提供するというのが当社のビジネスモデルです。かなりニッチな業種であり、同様のサービスを行っている国内の主要な企業は当社を含め2社しかありません。
貴社の採用ホームページには「あなたの踏み出す一歩で、情報がかたちになる」というメッセージが掲げられており、自分の手で情報を集める調査営業職のやりがいが印象的に訴求されていました。ここにはどのような意図が込められているのでしょうか。
このメッセージが示す通り、調査営業職は調査対象企業に直接足を運び、経営層の方にお会いして情報を集めます。アナログな手法である一方、人と関わることが好きな人にとってはすごくのめり込むことができる仕事だと思います。企業信用調査というと経営や財務に関する知識が必須と思われがちですが、そうした知識は入社後に学べます。「人とのコミュニケーションを楽しめる学生」に当社の魅力を伝えるため、採用サイトのメッセージを考えました。
貴社にマッチする人材を採用するために、採用チームが特に大切にされていることは何でしょうか。
当たり前のことではありますが、学歴などを気にせず一人ひとりの人柄を重視した採用を行っています。学生の人となりを理解し、当社とのマッチングを図るため、応募者に寄り添ったコミュニケーションの機会を増やしています。
応募者に寄り添うコミュニケーションのため、どのような施策を実施されているのですか?
選考中のコミュニケーションの機会は、面接以外にもなるべく多く設けています。具体的には「先輩座談会」「質問会」「トーク会」の3つがあります。まず「先輩座談会」は、インターンシップにご参加いただいた方を対象として実施しているもので、オンラインで先輩社員と自由に話していただきます。社員のリアルな声を届けるため、人事からの指示は行っていません。
「質問会」と「トーク会」はどのようなものですか?
「質問会」はWeb会社説明会と組み合わせて行っているもので、希望者のみ参加いただいています。説明会で一通りの情報を聞いた上で、気になることを何でも聞ける場所として設けています。また、「トーク会」は選考参加から二次面接にかけてのタイミングで自由に参加いただけるもので、最大10名程度の応募者と私たち人事がオンラインでざっくばらんに話します。学生自身にトークテーマを決めてもらい、そのテーマに対して人事が回答することで、会社説明会や採用サイトだけでは伝えきれていないより深い情報を、少数の応募者に向けて丁寧にお伝えしています。
選考段階ごとに最適なコミュニケーション戦略をとられているのですね。成果はどのように実感されていますか?
これらの企画を始めたのは、実はここ1、2年のことです。当社の事業や仕事はもともと学生に伝えるのが難しいものでしたが、コロナ禍のためいっそう学生とのコミュニケーションがとりにくくなってしまいました。それを補うために新たな施策を打ち出したわけですが、例えばトーク会参加者の多くが内定につながるなど、一定の成果を実感しています。元々トーク会は夏のインターンシップに参加できなかった学生へのフォローとして開催したものでしたが、質問会やトーク会を継続的に行い、学生との接点を定期的に設けることで、どの時期から当社に興味を持ってくださった学生にもしっかりとコミュニケーションの機会を用意できていると考えています。
就職活動が早期化・長期化する中で、有効なアプローチですね。内定者へのフォローについてはいかがですか?
当社の場合、内々定出しのタイミングは早ければ3月、遅ければ10月頃まで続きます。内定者フォローの期間もかなり幅があるわけです。そこで当社では内定者懇親会を行うほか、LINEを活用してコミュニケーションを取っています。LINEでは採用チームから定期的にメッセージを発信しており、会社に関するニュースや各部署の情報など、幅広い情報をお知らせしています。どのタイミングで内定者グループに入っても過去の履歴をすぐ参照できるよう、採用チームからのLINEメッセージをまとめたWebページも採用管理システム一体型のCMSを使って作成し、配信しています。
いつ就活を始めた方にも公平に情報を与えると共に、志望度を維持・向上しているわけですね。
先ほどLINEメッセージをまとめたWebページのお話がありましたが、貴社ではWebコンテンツを駆使した採用戦略を積極的に推進されているそうですね。
2019年に私が入社した当時は、実は採用サイトもマイページもありませんでした。私自身、就職活動をしていたときに情報を集めにくくて困りましたし、何よりネットでの情報収集を重視する今の学生にマッチしていないと感じたのが、コンテンツ戦略を取り入れたきっかけです。現在公開されている採用サイトは、今年度になってからリリースしました。その他にも、2年ほど前からマイページを中心に多数のコンテンツを制作・発信しています。
マイページからはどのようなコンテンツを発信しているのですか?
主に会社説明会の動画を集約したページを発信しています。会社説明会をすべて視聴するとかなり長いので、学生が見たい情報に簡単にたどり着けるように、テーマごとに動画を短く編集し、タイトルをつけて一覧で見られるページを作成、公開しました。このページに来れば、学生が知りたいテーマに関する動画だけを選んで見ることができるわけです。
就活生の効率的な情報収集をサポートする、親切なコンテンツ設計ですね。効果についてはどのように見られていますか。
劇的に応募数が増えたというわけではないのですが、面接で話してみると、各種コンテンツを見て当社を理解してくれた応募者も多く、嬉しく思います。近いうちに、社員が会社や仕事の魅力を語るインタビュー動画もアップしたいと考えています。
マイページさえなかった状態から、わずか数年でここまでコンテンツが拡充できたのは驚きです。少人数の採用チームで、なぜこれほど多くのコンテンツをつくれたのでしょうか。
当社が使っている採用管理システムには、マイページ機能と共にCMS(コンテンツマネジメントシステム)機能が搭載されています。直感的な操作でページを作成できるため、Webデザイン経験のない私でも手軽にコンテンツ制作を進めることができるようになりました。今では採用サイトを除く、ほとんどのWebコンテンツを社内で制作しています。とはいえ、コンテンツの企画・制作にはやはり時間がかかるもの。繁忙期にはなかなか手をつけられないので、アイディアを思いつくたびにメモをとり、コンテンツのイメージを蓄えています。そして手が空いたタイミングで制作に集中する。その積み重ねで、ここまでコンテンツを増やすことができました。
最後に、今後の採用活動に向けて実現したいことや抱負についてお話しいただけますか。
コンテンツの拡充や選考フローの見直しなど、目標とする採用をこの数年でかなり実現できたと考えています。今後はキャリア採用も含めたコンテンツ拡充とそのブラッシュアップ、社内への情報発信を行い、さらにわかりやすく情報を提供できるよう注力したいです。また、採用活動は入社して終わりではなく、その後の定着・活躍につなげることも忘れてはなりません。まずは私も担当している若手社員向けの研修制度の見直しを行い、近い将来には人事制度の改善にも携わりたいと考えています。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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