2013年に新卒で入社。首都圏でアイスクリームの営業を経験後、公募制度を利用して上海グリコで勤務。2019年10月より採用グループにジョイン。現在は新卒チームのリーダーとして採用活動を牽引する。
Published on 2023/05/12
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香田 小百合Sayuri Koda
江崎グリコ株式会社
グループ人事部 採用グループ
2013年に新卒で入社。首都圏でアイスクリームの営業を経験後、公募制度を利用して上海グリコで勤務。2019年10月より採用グループにジョイン。現在は新卒チームのリーダーとして採用活動を牽引する。
内田 いつかItsuka Uchida
江崎グリコ株式会社
グループ人事部 採用グループ
2016年に新卒で入社。近畿エリアで加工食品の営業に従事したのち、2018年より現職。新卒採用の企画・運用を行う。職種別採用ではセールス職と研究職を担当。
藤川 裕真Yuma Fujikawa
江崎グリコ株式会社
グループ人事部 採用グループ
転職エージェント、監査法人を経て2021年に入社。新卒採用の企画・運用を行う。職種別採用では生産技術職を主に担当し、他の職種のサブ担当としても活動。採用広報やWebサイトの企画も担当している。
ポッキーをはじめとするロングセラー商品を数多く持つ江崎グリコは今、「嗜好食品企業」から「おいしさと健康」を両立する「日常必需食品企業」への変革を進めています。同時にここ数年で急速に進化を遂げているのが採用戦略。社風や仕事内容とマッチした人材を確実に採用するために、職種別インターンシップを軸とした早期採用に注力しています。職種ごとのリアルな仕事内容をしっかり伝えることにより、定着率の劇的な向上を実現しました。カスタマージャーニーを意識した採用戦略はどのような想い、プロセスから生まれたのか。採用から会社を変えるべく日々奮闘する、採用チームの皆さんにお話しいただきました。
まずは改めて、貴社の事業についてご紹介ください。
内田:
当社では菓子事業をはじめとする10事業を展開しており、一般的には老舗お菓子メーカーとして認識いただいていると思います。しかし、現代は単においしいだけのものが売れる時代ではなくなりつつあります。そこで「食品を通じて国民の体位向上に貢献したい」という創業者・江崎利一の理念に立ち返り、おいしさと健康を両立した商品をお届けする企業への変革に向けて、新商品の開発にも注力しているところです。
貴社は「食べるで変える」という印象的なキャッチコピーを掲げて採用活動を行われています。この言葉は事業変革と人財戦略の連動を反映しているのでしょうか。
藤川:
その通りです。当社は2022年に「すこやかな毎⽇、ゆたかな人生」というパーパス(存在意義)を策定しましたが、食を通じて人々の課題を解決するという事業は創業時から変わらず行ってきたことでした。Glicoがもともと持っていた強みを活かして進化していることを伝えるため、作り上げたのがこの「食べるで変える」という言葉です。
貴社の事業変革は、採用活動にどのように影響していますか?
内田:
昔は、食品業界の印象やGlicoが長い歴史を持つこともあり、安定や安心というイメージを持ってエントリーをいただくことが多かったです。しかし近年では、事業変革に伴い新たな価値を創り出せる人財を求める方針が強くなってきています。我々採用チームとしても、採用から会社を変えたいという強い想いと使命感を持って取り組んでいます。
「会社を変える採用」の実現に向け、採用チームが共有しているポリシーがあれば教えてください。
内田:
最も大切にしているのは「お客様視点」です。採用においてお客様にあたる応募者が何を求め、何に困っているかを汲み取り、それに応えられる情報や体験を提供することが必要だと考えています。
香田:
採用チームは今、「マーケターになろう」というコンセプトを掲げ、マーケティングを意識した採用活動を目指しています。マーケティングはGlicoがメーカーとして長年取り組んできたものですが、このノウハウは変化の激しい採用市場にも応用できるものです。まだまだ発展途上ですが、チーム全員で勉強しながら少しずつ実践を重ねているところです。
マーケティング的な手法は、例えばどのような場面で活かされているのでしょうか。
藤川:
私は主に採用広報を担当しているのですが、デザイン思考を持ち、カスタマージャーニーを意識した情報の出し方を工夫しています。例えば先ほどお話しした「食べるで変える」という採用キャッチコピーも、SNSを中心とした市場調査を行い、若い人たちがGlicoに対して抱いているイメージや、どのようなコンテンツに魅力を感じるのかといったことを分析した上で策定しました。
貴社は職種別でインターンシップを開催し、高い成果を上げていると伺いました。インターンシップはどのような流れで実施されているのですか?
内田:
大学3年生、修士1年生を対象に、夏期・冬期の年2回実施しています。内定者の9割以上はインターンシップ参加者ですので、採用直結型といっても良いでしょう。インターンシップ前にはエントリーシートによる書類選考、適性検査と面接を受けていただき、通過した方にご参加いただいています。
インターンシップを重視した選考を行っているのは、どのような意図によるでしょうか。
内田:
Glicoと学生の相互理解の促進と早期のエンゲージメント醸成が主な目的です。最近は採用市場全体で選考の早期化が進んでおり、意欲の高い学生と接点を持つには、早期のインターンシップが有効であると考えています。
名実ともに、インターンシップが貴社の採用活動の核となっているわけですね。実施にあたってどのような工夫をされているのか、教えていただけますか。
内田:
当社ではエントリーシート提出の段階から職種別採用を行っており、インターンシップも職種別で実施しています。基本的な職種はセールス、マーケティング、研究、エンジニア(生産技術)で、年度によってファイナンスや法務などを募集することもあります。
技術系以外は総合職採用を行う企業もまだまだ多い中、貴社が職種別採用を取り入れていることにはどのような背景があるのでしょうか。
香田:
当社も以前は総合職採用を行っていたのですが、希望と違う職種に配属された社員がミスマッチを感じ、モチベーション低下につながるケースが増えた時期がありました。学生目線に立つと、確かにどんな仕事をするか知らないまま入社するのは不安だと思います。そこで、応募時・選考時にできる限り情報をお伝えした上で、自分が納得した職種でご入社いただく方針に切り替えました。
近年の学生は「配属リスク」を回避し、初回配属確約型採用を希望する傾向があるといわれています。そうしたニーズに応える施策と言えそうですね。インターンシップの具体的な内容についてもお聞かせいただけますか。
香田:
夏期と冬期に、それぞれ2日間から5日間ほどかけて実施しています。現在はオンラインではなくリアルでの実施です。前半に会社の説明や職種紹介などのインプットを行い、後半は実践的なワークを行う流れです。特に後半のワークは実務に近い内容にこだわっており、各職種のリアルな仕事が疑似体験できます。
コロナ禍以降はインターンシップをオンラインで実施する企業も増えていますが、リアル開催を貫いている理由は何でしょうか。
香田:
実際のオフィスや社員の様子を見ていただくことで、会社の魅力を伝えたいと考えています。「オンラインインターンシップも多い中、リアルで参加できてすごく楽しかった」と話してくださる参加者も多く、他社との差別化になっていると感じます。
藤川:
我々が応募者を見極めるだけならオンライン面接だけでも十分だと思いますが、学生に「この会社で働きたい」と思っていただくには、間近に先輩社員を見てもらうのが一番だと考えています。そのため、インターンシップでは非常に多くの現場社員に協力いただいており、若手社員はもちろん、中堅社員、部長クラスまで参加します。
全社をあげた協力体制をつくりあげているのですね。
内田:
ありがたいことに、採用に対して興味を持ってくれる社員が多いです。
藤川:
採用活動に関与することによって、現場社員のモチベーションやエンゲージメントが高まるという副次的な効果もありますね。
現場社員が多く参加することで、職種別ワークの質も高まりそうです。
内田:
ワークは仕事の面白い面だけではなく、厳しい面も現場社員からしっかり伝えてもらうようにしています。ワークではマネージャークラスの社員がバイヤー役となり、学生が企てた提案の商談疑似体験をしていただきます。商談や提案の内容にもしっかりフィードバックをし、最終日にはブラッシュアップさせた内容で商談に再チャレンジする作業を経験します。仕事の厳しさや、それを乗り越える成功体験を得ていただくことが目的です。
藤川:
エンジニアやマーケティングも、人事だけではなく、現場社員からリアルなフィードバックをしています。学生にとってはハードな課題ですが、達成感も大きいという感想をいただいていますね。
それだけリアルなインターンシップを実施していれば、入社後のミスマッチもかなり減らせるのではないでしょうか。
香田:
ここまで職種別にインターンシップを実施していなかった時期と比べると、定着率は目に見えて向上しました。3年以内に離職した人もごく少数にとどまっています。
ここまでのお話で、「マーケターになろう」を意識した採用戦略が、見事に奏功していると感じました。
香田:
そうだとすれば嬉しいですね。しかし、まだ課題もあります。例えば早期採用を行っている分、内定者フォローが長期にわたるため、この間の離脱を減らすための施策は今も模索中です。
藤川:
私も内定者フォローを含め、選考全体の戦略をブラッシュアップしていく必要があると思います。そのためにも応募者、内定者がどのタイミングでどのようなことを考えているのかというカスタマージャーニーを整理しなければなりません。
最後に、今後の採用活動に向けて目標をお聞かせください。
藤川:
以前は採用サイトの更新が年に一回程度しかなかったのですが、現在はマーケティングの観点からスピーディーな更新が可能なCMSツールを導入し、さらなる魅力の伝達に注力しています。今後はコンテンツを通じた情報発信を強化すると同時に、自社企画のイベントも積極的に増やし、学生が必要とする情報をしっかり伝えていきたいと思います。
内田:
採用から会社を変えるという目標は、採用チームだけでは達成できません。採用活動に協力いただける仲間を増やすため、各部門の社員との連携を強化していきたいと考えています。同時に、入社いただいた方へのケアもしっかり実施すること、未来の仲間づくりにも貢献したいです。
香田:
内田の言う通り、採用の本当のゴールは入社した社員に活躍していただくこと。そのためには、社員の活躍度合いを検証し、採用活動にも反映させていく必要があります。事業変革期に相応しい人材の採用と入社後のフォローに向けて、採用チームがすべきことはまだたくさんあると思います。
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Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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