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Interview

母集団が前年比1.5倍に増加。大気社の攻めの戦略

RECRUITMENT

Published on 2024/11/29

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Profile

石澤 康平Kohei Ishizawa

株式会社大気社
管理本部 人材開発部 人材開発課

2022年、新卒入社。一年間の新人研修を経て、環境システム事業部東京支社に配属。営業担当として主にメガバンクや自動車メーカーを担当する。2024年4月より現職。これまで外部に委託していた動画制作を担当し、自社の魅力を伝える動画づくりに奔走している。

株式会社大気社は、ビル空調設備や産業空調設備の設計・施工を担う空調関連事業と、自動車塗装プラントの設計・施工に特化した塗装関連事業を主軸とするエンジニアリングカンパニーです。高度な技術力で業界をリードする同社は、その技術力を支え、牽引する人材の獲得に向けて、採用チームが常に「学生のために何ができるか」を念頭に置いています。特に、レゴブロックを活用した疑似施工管理体験プログラムを取り入れた「1day仕事体験」は学生に好評を博し、データ分析に基づく採用施策の改善により、前年の1.5倍にまで母集団人数を増加させる成果を挙げています。こうした施策がどのように立案され実行されているのか、人材開発部の石澤様にお話を伺いました。

軸となる採用基準に加え、+αの視点で学生を評価

まず、貴社の事業内容や強みについてご紹介いただけますか。

当社は「空気」をキーワードに二つの事業を展開するエンジニアリングカンパニーです。主な事業の一つは「空調関連事業」で、高層ビルや商業施設、学校、病院、空港、美術館などの生活空間から、製造工場や研究施設などの産業施設に至るまで、多様な施設に必要な「空調設備」の設計・施工を行っています。もう一つは「塗装関連事業」で、これまで蓄積してきた空調工事の技術を活かし、自動車製造における塗装プラントの設計・施工に携わっています。幅広い業界と取引を行い、「人々の生活空間」や「ものづくりの現場」を支えることで、社会に高い貢献を果たしていると自負しています。

「空気」を軸に多様な業界を支える貴社ですが、新卒採用ではどのような人材を求めていらっしゃいますか?

新卒採用では、事務系総合職と技術系総合職を募集しており、いずれもポテンシャルに重点を置いた「人物重視の採用」を行っています。採用基準として「さまざまなことに興味を持てる人」を掲げており、この基準を土台に、「コミュニケーション力が高い人」「バイタリティがあり、困難にも粘り強く立ち向かう人」「問題が提示された際に、解決策を考え実行できる人」といった3つの要素を「大気社の求める人物像」として設定しています。選考ではこうした人物像を基準に学生を評価するだけでなく、当社のありたい姿を見据え、+αの視点で応募者の強みを見極めています。

「+αの視点で応募者の強みを評価する」とは、具体的にはどのようなことですか?

近年、当社はグローバル化を推進しており、今後はグローバル人材を積極的に採用していく方針です。また、当社の空調設備や塗装プラントは、お客様と密に向き合いながらその都度作り上げていく製品であるため、「お客様の要求通りに作るのは当然であり、期待を超える提案をする」という姿勢が求められます。新卒採用においても「現状に満足せず、常に一歩先を見据える考えを持つ方」を望んでおり、当社に今後必要なスキルを事前に検討した上で応募者に向き合っています。具体的には、「語学力が高い」「データ分析が得意」など、求める人物像に加えた強みを評価しています。

レゴブロックを活用した1day仕事体験で、学生の関心を惹きつける

貴社では、技術系総合職向けの「1day仕事体験」で「レゴブロックを用いた疑似施工管理体験」を実施されていますが、このユニークな試みの経緯をお聞かせください。

当社では比較的早い段階から1day仕事体験を導入しており、2015年頃より実施しています。近年、採用の早期化・短期化が進む中で、プレ期に行う1day仕事体験の重要性が一層高まっていると感じています。採用のスピード感を重視しないと、優秀な学生はすぐに他社の内定を得てしまうため、1day仕事体験に力を入れるようになりました。

また、当社はBtoBビジネスを展開しており、建設業界でいうところの「サブコン」に分類されますが、学生にとっては馴染みが薄く、「仕事の具体的なイメージが湧きにくい」という声も多くあります。業務理解を深めてもらうためにも、1day仕事体験に注力しています。この体験は学生への認知度や興味喚起を促進する最も重要な施策と位置付けています。

業務内容や貴社の魅力を伝える初期接点としての役割を担っているのですね。プログラム内容について具体的に教えてください。

対面とWebの両方で実施しており、いずれもレゴブロックを使用した疑似施工管理ワークを含んでいます。施主様やゼネコン、サブコン、下請け業者など多様な関係者と協力し、限られたターン内で工事を完了させることがミッションです。お客様のニーズに合致する設備を作れるか、予算を超えずに達成できるかなど、さまざまな課題をクリアしながら施工管理の仕事を体験してもらっています。

Web実施の場合、対面と異なる点はありますか?

対面型では応募者が施工管理と作業の両方を担当し、自らレゴブロックを動かしていきます。一方、Webでは学生がブロックを動かすことができないため、施工管理役として指示を出し、採用担当が作業員として指示に従ってブロックを動かします。

具体的には、ワークを計2回行い、1回目は作業員の手元を見せずに指示を出してもらいます。すべての工程終了後に完成物を見せることで、施工管理の適否を振り返る機会としています。2回目は1回目の結果を踏まえて改善策を導入しながら、作業風景が見える形で指示を出してもらいます。

学生からは、特に1回目で「現場での密なコミュニケーションの重要性」を痛感したとの声が多く、非常に有意義な体験プログラムになっています。

Webでの制約を踏まえても、しっかりと意義あるプログラムを構築されているのですね。

ありがとうございます。Webでの1day仕事体験は、2020年4月の緊急事態宣言下で採用活動が一時停止した際に企画し、実施に至りました。当社では若手社員に裁量を与える風土が根付いており、実際に新卒採用担当業務も若手メンバーを中心に構成されています。採用チーム一丸となり「学生のために何ができるか」を考え、迅速に実現したことは、当社の企業文化の賜物だと感じています。

1day仕事体験に参加した学生からの反響はいかがですか?

就職活動サイトのインターンシップや1day仕事体験の満足度調査において、例年多くの就活生の皆さまから高い評価を受けています。内定者からも「レゴを使ったワークがとても印象的で楽しかった」との声が多く、こちらの期待以上の効果があると感じています。説明会でも仕事内容を伝えていますが、1day仕事体験では「仕事理解を深めるための充実した時間」を提供できる点が大きなメリットです。今後も改善を重ねつつ、力を入れていきたいと考えています。

データに基づくリアルタイムの改善で母集団を前年比1.5倍に拡大

貴社では近年、1day仕事体験に加え、応募者の進捗状況を分析し、施策の改善を行っているとのことですが、その背景について教えてください。

採用施策の見直しに際し、採用担当の勘や感覚といった定性的な判断に頼らず、データに基づく定量的な判断を重視しています。毎日応募者の動向をチェックし、どのフェーズでどのように数字が変化しているかを観察しながら、施策改善につなげています。このような取り組みを繰り返すことで母集団が順調に増加し、2026シーズンには、学生に好評な1day仕事体験の開催回数を増やした結果、前年の1.5倍にまで母集団が拡大しました。

応募者動向のリアルタイム分析によって、適切な採用施策へとつなげているのですね。他に印象的なエピソードがあれば教えてください。

例えば、最終面接の予約者や合格者が少ないことに気が付いた際には、直前の面接から最終面接までの期間の見直しや、面接官の評価基準にバラつきが無いかなどを精査しました。結果、面接日程の間隔調整が必要なことや、例年よりも最終面接官の評価が厳しくなっている事が判明しました。そこで、選考スケジュールの見直しや面接官への評価基準再周知などを行い、直前の面接からの移行率や最終面接の合格率を改善しました。

貴社の採用施策には、学生への寄り添いと同時に「攻めの姿勢」が感じられます。

ありがとうございます。当社は「顧客第一」を社是に掲げており、私も「困ったときには社是に立ち返るように」と上司から学んできました。私たち採用チームにとっての顧客は学生の皆さんです。ある先輩社員は、学生時代に当社の面接で「熱意が伝わるが早口になりやすいので、落ち着いた話し方を心がけると良い」とアドバイスを受けたと聞いています。採用活動の目的は「当社が求める人材を採用すること」にありますが、一人ひとりが納得感を持って就職活動を終えられるよう、支援したいと考えています。

今後の採用活動で挑戦してみたい施策があれば教えてください。

当社は、学生の皆さんにとって馴染みが薄い事業を展開しているため、認知度向上に向けた施策を一層推進したいと考えています。すでに採用サイトのデザインを大幅に刷新するなど、より多くの学生に興味を持ってもらうための取り組みを進めています。小さな努力を積み重ね、少しずつ認知度が上がればと願っています。


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