2006年、NRIデータiテック株式会社に入社。インフラエンジニア/プロジェクトリーダーとして活躍したのち、「人の成長や育成に関わる仕事がしたい」という希望を叶えて人事課に異動。人材採用の企画・運営、人材育成を手がける。
山下 真喜子Makiko Yamashita
NRIデータiテック株式会社
総務部 人事課
2006年、NRIデータiテック株式会社に入社。インフラエンジニア/プロジェクトリーダーとして活躍したのち、「人の成長や育成に関わる仕事がしたい」という希望を叶えて人事課に異動。人材採用の企画・運営、人材育成を手がける。
日本屈指のコンサルティング/ITサービス企業であるNRI(野村総合研究所)。そのグループの一員として、ITインフラ構築・運用に特化した事業を展開しているのが、NRIデータiテック株式会社です。NRIグループの総合力をバックグラウンドとした顧客目線のITサポートにより、金融業界をはじめ幅広い業界で高い評価を得ています。「現場力」を強みとする同社にとって、ITを極め顧客と誠実に向き合うスペシャリスト人材こそ、最大の資産。そのため同社では、人材の採用、育成、働きやすい環境づくりを一貫して大切にしているといいます。「採用目標の達成はもちろん、従業員満足度を高めることまで視野に入れて人事に取り組みたい」という人事課の山下真喜子様に、採用戦略、そして「人」への想いを語っていただきました。
貴社はNRI(野村総合研究所)グループの一員として、ITインフラ構築・運用に特化したサービスを提供されています。採用ポリシーについても、やはりNRIグループ全体と共通したものなのでしょうか
はい、NRIは「お客様の信頼を得て、お客様とともに栄える」という企業理念に基づいて事業に取り組んでいますが、当社もこれと共通のポリシーでサービスを提供しています。ITインフラの提供というサービス内容に即して簡単に言えば、「お客様第一主義」ですね。当社のインフラエンジニアは、常にお客様目線を大切にし、お客様の課題を的確にとらえ、どのようなソリューションが必要かをお客様と共に考える。そして、Win-Winの関係を築くことを目指します。こうした考え方は、人材採用においても共通したものだと思います。
人材採用においても、学生とWin-Winの関係を結ぶことを目指しているということですか?
その通りです。インターンシップにせよ、採用選考にせよ、当社の利益だけ優先するのではなく、学生に何かを得てほしいというモットーで行っています。
たとえばどのような施策に、そうした「学生目線」が表れているのでしょうか。
わかりやすいのはインターンシップですね。一番の特徴として、先輩社員との対話の時間が長いことが挙げられます。業務内容から会社の雰囲気、現場の課題、育成制度や福利厚生まで社員のリアルな印象を語ってもらうことで、学生にとって何かしら想定していたものとは違う「ギャップ」を持ち帰ってもらうような構成にしています。その「ギャップ」を早期に明らかにすることで、より具体的な「働くイメージ」を持って次のステップに進んでもらうことができます。また、フォローイベントでは、簡単な適性診断を事前に受けてもらい、そのフィードバックを行っています。「○○さんは検査の結果○○の傾向が強いタイプで、○○のような仕事に向いていますね」といった結果を皆さんにお伝えし、さらにその内容についてグループで話し合う時間も設けています。自分の特徴を知る客観的なデータとして、就活に役立ててもらうことを目的にしています。
適性検査を実施する企業は多いですが、フィードバックまで行う企業は少ないですよね。しかも、入社するかどうかわからないインターンシップの段階で……。
そうですね、この施策はコストがかかる割に、当社にとって直接的なメリットは少ないかも知れません。インターンシップに参加してくださった学生に対する「ギフト」のようなものとして、少しでも学生の満足度アップにつながればいいな、という思いで実施しています。参加者からも、「適性検査のフィードバックがもらえる機会は少ないので、自己分析に役立って良かった」という声をいただいています。
確かに学生にとって得るものが大きい企画ですね。インターンシップは、学生と社員との接点づくりという点でも貴重な機会ですが、学生の反応はいかがですか?
アンケート結果やいただいたお礼のメールを見ると、「社員との交流がきっかけで社風に魅力を感じ、志望意欲が上がった」という人がかなり多く、大変好評ですね。現状に甘んじることなく、インターンシップのコンテンツについては日々バージョンアップして、より満足度の高いものを作っていきたいです。
入社される方は貴社の社風のどのような点に惹かれるのでしょうか?
内定者の皆さんからは「穏やかで良い人が多い」といった声がよく聞かれます。これに加えて、人材育成に力を入れている点に惹かれる方も多いようです。一例を挙げると、当社では中堅社員がインストラクター(人材育成担当)として、1年間新入社員を指導・サポートする仕組みを整えています。こうした育成業務がきちんと仕事の一部として評価される点も、インストラクターと新入社員双方の成長を促進する一因になっていると思います。
貴社の採用サイトは、暖色を基調としてポップなイラストをふんだんに使った、温かみのあるデザインで作られていますね。IT企業としては意外性のあるサイトと感じたのですが、どのような意図で作られたのでしょうか。
以前のサイトはブルーを基調としたIT企業らしいものだったのですが、2020年春に全面的にリニューアルしました。狙いは二つあります。一つは「このサイトを一通り見るだけで当社の仕事内容をイメージできること」。そしてもう一つは「性別・年齢を問わず、誰が見ても心を惹かれるサイトにすること」。そのためダイバーシティを意識した柔らかく、カラフルなデザインを採用しました。
学生からの評判はいかがでしたか?
嬉しいことに好評でした。サイトのおかげだけではないと思いますが、エントリー数は前年の約二倍に増加しました。当社はIT企業の中でもインフラに特化した企業なので、「何をしているのかわかりにくい」と感じる学生も多いようです。そうした「わかりにくさ」を払拭するために図や絵をふんだんに用いて身近なものに感じてもらえるよう工夫しています。
学生に貴社の事業をわかりやすく伝えるために、何か心掛けていることはありますか?
インターンシップなどのイベントでは、予備知識のない方でもIT業界におけるインフラの位置づけを理解いただけるよう、丁寧に説明しています。よくお話ししているのは、「電力や水道、ガスといった公共インフラと同様に、ITインフラもシステムにとって、そして社会にとって、重要な存在です」という比喩ですね。このイメージに共感してくださる方は、縁の下の力持ちとしてお客様の情報システムを支えたい、という弊社の業務に興味を持っていただけることが多いようです。
2022年卒採用向けのインターンシップは、どのように実施されてきたのでしょうか。
夏のインターンシップはオンラインで合計15回開催しました。IT業界の概要や当社の紹介は最小限にとどめ、先輩社員との対話やグループワークをメインにした双方向のコミュニケーションに時間を割いています。参加者の皆さんからは「業務イメージが鮮明になった。」「制度が充実していることはHPを見て理解していたが、実際に活用している社員の声を聞けて参考になった。」「他のインターン生との交流が有意義だった。」という声をいただくことができました。
ここにも最初にお話しいただいた、「学生=顧客目線」の採用活動が貫かれているわけですね。内定者へのフォローもやはり手厚いのでしょうか。
例年、かなり力を入れてフォローしています。今年度は新型コロナウイルスの影響があり、懇親会で直接顔を合わせるといったことが難しいため、内定者ツールやオンライン面談ツール、LINEを活用してコミュニケーションを取っています。当社はIT企業ですから、オンラインを駆使したコミュニケーションにはさほど違和感はないですね。
採用活動における目標設定や効果測定、次の施策への反映などは、どのように行われていますか?
全社的な目標値に基づいて、具体的な採用企画を立てています。効果測定・振り返りについては、毎年NRIグループの各社の採用担当者が集まって、各社の課題や成功事例などを共有しています。また、次の施策を考えるに当たっては、ファクトデータを重視しています。当社ではヒューマネージ社の採用管理システム「i-web」を使った定量的分析を行っています。たとえば文系・理系の比率を計測したり、エントリーから内定に至る各プロセスの離脱率を分析することで、どのプロセスを改善すべきか見極めたりしています。
今後の採用活動において、新たにチャレンジしてみたいことがあれば教えてください。
今後も採用のオンライン化は継続する見込みですが、やはり対面でのコミュニケーションも大切にしていきたいと考えています。そのためオンラインと対面を効果的に組み合わせた採用フローの確立を最優先に取り組んでいきたいです。そして中長期的な展望としては、採用と育成を一元的に結びつけたタレントマネジメントを強化する仕組みを作りたい、というのが私の目標です。
「採用して終わり」ではない、ということですね。
内定者・新入社員は、採用部門、教育部門によるフォローを経て現場に入るわけですが、それぞれの組織が緊密に連携し続けることで、長期的な人材育成はより効果的なものとなります。実は今、会社としてもそうした仕組みを整えようという動きがあり、私もこの育成計画に加わりアイディアを練っているところです。技術力はもちろん、マネジメント力やビジネススキルなどの総合的な能力を備えた人材を、入社後6年程度かけて育成していく。今後は採用活動も、こうした育成プランを踏まえて実施する必要があると思います。
「顧客目線」が、学生に対してだけではなく、社員に対しても向けられているという印象です。
おっしゃる通り、たとえば福利厚生についてもNRIと同等の充実した内容となっています。ライフステージの変化に応じて柔軟に働き続けられる制度が整っていて、私自身、2回育休を取得し、復帰した現在もワークライフバランスを保ちながら働くことができています。各自の希望するキャリアを自己申告できる仕組みもあり、特に若手のローテーションには力を入れていきたいと考えています。私自身、定年までこの会社で勤めたいな、というのが正直な気持ちです。これからも当社の魅力を多くの方に伝え、自分も会社と共に成長できるよう努力していきたいです。
Special Feature 01
人材データを蓄積し、その後の採用可能性につなげていく「タレントプール」。
新たな採用手法の実現方法を紐解きます。
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