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Marketing Magazine

【企業の動き】2024シーズン本エントリー受付/内定出し時期をよむ

Published on 2023/03/03

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3月になり、引き続き進む2024シーズン本選考。今回は企業の採用スケジュールに着目したデータをお届けします。

 

本エントリー受付開始時期、昨年と同時期が7割以上

 

本エントリー受付開始時期

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[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24・23シーズンの本エントリー受付開始時期が決定している企業様(予定含む)
[算出方法]
文理職種別に24・23シーズンの本エントリー受付開始時期を集計して、時期別の割合をそれぞれ算出
また、企業ごとに各シーズンの時期の差を求めて算出

 

まず、本選考の本エントリー受付開始時期の昨シーズンからの変化についてみてみると、「変化なし/1ヶ月以上の変化なし」の企業が文系職種で75.2%、理系職種で71.3%と最多になりました。一方で、「1ヶ月以上早めた」企業が2割前後あり、ここには主に職種別採用で特定の職種の受付を早期に開始している企業や、夏季インターンシップ等のイベントの活況をうけスケジュールを前倒した企業等が該当しているようでした。他方、「1ヶ月以上遅くした」企業も1割弱あり、昨シーズンで早期化したもののあまり効果を感じられなかった、内定辞退の増加を懸念した、などの声がきかれました。選考スケジュールの最適化が求められているいま、各社さまざまな試行錯誤を行っている様子が窺えます。

 

 

初回内定出し時期、1ヶ月以上早めた企業は2割強

 

初回内定出しの時期

画像2

[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24・23シーズンの初回内定出しの時期が決定している企業様(予定含む)
[算出方法]
文理職種別に24・23シーズンの初回内定出しの時期を集計して、時期別の割合をそれぞれ算出
また、企業ごとに各シーズンの時期の差を求めて算出

 

次に、初回内定出しの時期の昨シーズンからの変化については、「変化なし/1ヶ月以上の変化なし」の企業が文系職種で75.5%、理系職種で75.3%と最多、「1ヶ月以上早めた」企業が2割強、「1ヶ月以上遅くした」企業は5%に満たないことがわかりました。また、別の調査では3月に内定出しのピークを迎えているというデータもあり(Monthly HR AGE 2023年2月号に掲載)、選考や合否出しをスピーディーに行い、昨年同様の時期から順次内定を出すことで、選考中の離脱を防ぎたい企業の意図が窺えます。

 

 

スケジュール策定を含めた採用戦略の定期的な見直しを

 

今回の調査では、本選考受付開始時期、初回内定出しの受付時期について大半の企業が昨年からの大きな変更がないものの、時期を早めた(もしくは遅くした)企業も一定数いることから、企業ごとに選考スケジュールを最適化しようとする意向が窺えました。企業は選考中も自社の採用状況やマーケット状況に応じて、スケジュールを含めた採用戦略を定期的に見直し、スピーディーな改善を図っていくことが求められているといえます。

 

ある企業では、昨シーズンは内定後の辞退防止を目的に採用スケジュールを全体的に遅く設定したものの、学生の志望度醸成に課題を感じ、今シーズンは選考を早めたといいます。学生と接する期間が長くなることを利用して関係育成やさらなる魅力伝達を指標に置き、さまざまな年次の社員が登場するコンテンツや職種別のWebセミナー、リクルーター面談などの施策を、学生の反応をみながらブラッシュアップしているとのことでした。長い期間をかけて、入社したい「たった一社」として選ばれるための施策を講じることは、採用CX(候補者体験)の観点からも効果的と考えられます。

 

一方で、昨シーズンはスケジュールを早めたものの、内定辞退の増加により今シーズンは例年に戻したという企業の例もあります。選考スケジュールを遅くした上で、選考自体はスピーディーに行う、他社やマーケットの状況を鑑みて選考フローを調節する、などの工夫をしているケースでも、応募者に寄り添った姿勢が感じられます。

 

まずは昨シーズンを振り返り、改善点を反映したスケジュールを策定する、そして期首に立てた戦略や施策の動向を定期的に確認し、改善を行っていくことが重要です。細かいスパンで小さな指標を持ちながら、日々PDCAを回していくこと、そしてその中で「応募者に価値を感じてもらう」「応募者に寄り添った施策を行う」ことが採用成功のカギを握ると考えられます。

 

最新のマーケット状況をもとに、2024シーズン本選考の戦略改善にお役立ていただければ幸甚です。

 

最新の採用ご担当者インタビューはこちら:

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ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2023年2月号は、2024シーズンのデータ分析や、特集「“定着”する人材の見極め方、惹きつけ方」、企業インタビューなど、より詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2023年2月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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