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【企業データより】内定承諾のキーワードは「納得感」。これからのフォロー施策とは

RECRUITMENT

Published on 2023/05/19

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各社着々と内定出しが進む2024シーズン。今回は、企業の動きから現在のマーケット状況をみていきます。

 

2024シーズン最終選考終了時期は6月上旬がピーク

 

最終選考の終了時期

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[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24・23シーズンの最終選考の終了時期が決定している企業様(予定含む)を対象とし、時期別の割合を算出

 

まず2024シーズン本選考についてみてみると、最終選考の終了時期は6月上旬が14.6%(昨シーズン比+2.5pt)とピークですが、5月下旬~6月下旬の企業も多いことが窺えます。またそれ以降を予定している企業も一定数あり、複数クールで選考を行う企業や、通年に近いかたちで充足率向上を目指している企業もあることがみてとれます。早期の接点を起点とした選考活動の開始時期は前倒しされているものの、その期間は長期化しており、企業の計画的な採用戦略が重要になっていると言えそうです。

 

 

内定受諾の締切期間は昨年よりも長期化傾向

 

内定受諾の締切期間

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[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24・23シーズンの内定受諾の締切期間が決定している企業様(予定含む)を対象とし、該当する日数を集計して割合を算出

 

内定出しについては、昨年とやや異なる結果がみられました。内定受諾の締切期間は、「2週間超1ヶ月以内」が38.9%(昨シーズン比+5.6pt)と最も多くなりました。昨シーズンは「1週間超2週間以内」が最も多く、内定出し後に学生が受諾を決断しなければいけない時間は長くなっていることがわかります。

 

 

入社後を見据えた内定者コミュニケーションを

 

今回の調査からは、選考は例年に引き続き前倒し傾向にある一方で、内々定承諾期間が昨年よりも長くなっていることがわかりました。早期化による内定辞退の増加が懸念されるいま、「応募者に納得したうえで内々定承諾をしてほしい」という考えが浸透していることが伺える結果です。実際に、内々定を出した学生に就職活動を終えるように働きかける、いわゆる”オワハラ”が問題視されていることや、学生が将来の自社サービス顧客になる可能性があることからも、無理に就活を終わらせるようなことはせず、学生の意思を尊重して内々定承諾期間を長くしている企業は多いようです。

 

また、そうした企業では、内々定のオファーを出した応募者との人事面談や社員訪問を通じて不安払拭を図る事例も増えてきています。例えば食品メーカーA社では内々定出しの際、「他社の選考の状況もあると思うので、○○さん自身が納得できたタイミングで承諾してほしいなと思うのですが、いつまでに決断できそうですか?」と学生それぞれに確認し、不安や迷いのある学生に対しては人事面談や現場社員との個別面談、必要に応じて社内見学なども行っているそう。ここでは内々定承諾させるための情報ではなく、入社を判断するために必要な情報を提供できるように、学生とのオープンなコミュニケーションを心がけていると言います。

 

また、コンサルティング会社B社では内定者フォロー施策として、選考時に受けた適性検査のフィードバック面談や内定者同士のワークショップ等を行い、「なぜこの会社で働くのか?」を再認識してもらうことを重視しているといいます。ここでポイントとしているのが、内々定承諾前の学生にも同様に、選考で評価された点のフィードバックや今後想定される配属部署やそこで期待する働き等を可能な限り伝えている点。内々定承諾前、ひいては選考中からの内定後を見据えたコミュニケーションそのものが、自社“らしさ”を理解してもらうことにもつながるとのことでした。

 

内々定承諾までは学生の不安を払拭し、納得して入社の意志を固める施策、承諾後は入社の納得感や期待感をさらに増幅させ、未来の自分がイメージしてもらうための施策を実践している企業が多いようです。学生のフェーズな気持ちに寄り添ったコミュニケーションが、採用成否を左右すると言えそうです。

 

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ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2023年5月号は、2024シーズン本選考/2025シーズン夏季インターンシップ 採用動向、特集「2025シーズン向け 企業データでみるインターンシップの現在」、企業インタビューなどより詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2023年5月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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