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Marketing Magazine

コンテンツマーケティングの在り方を考える——2023内定者動向より

Published on 2022/11/18

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今回は2023シーズンの内定者アンケートデータ分析より、就職活動スケジュールに関する調査をご紹介します。早期から接点をもち、学生への継続的なアプローチが求められるいま。コンテンツを通じた情報発信にフォーカスし、今後の施策を考えてきます。

 

 

業界絞り込み時期は「年内まで」に行う学生が微増

 

業界絞り込み時期

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[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、22シーズン、23シーズンそれぞれで9月上旬時点までにご回答頂いた企業様の内々定者
[算出方法]
各シーズンにおいて「業界絞り込み時期」の設問回答者の合計を「100」として、時期別の割合をそれぞれ算出

 

上のグラフは、2023シーズン内定者を対象に就職活動において業界を絞り込んだ時期を聞いたものです。年内に業界を絞り込んだ学生は、全体で64.7%(昨シーズン比+2.8pt)となりました。特に理系については70.5%(昨シーズン比+4.8pt)となっており、8月~10月で昨年を上回っています。選考直結型のインターンシップをはじめとする早期の選考など、企業の動きに呼応して学生の絞り込みも早まっている様子が窺えます。インターンシップ等を通じた早期からの情報提供や、業界としての魅力付けが求められていると言えそうです。

 

 

企業絞り込み時期も理系でやや前倒し傾向に

 

企業絞り込み時期

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[集計対象]
上のグラフと同じ
[算出方法]
各シーズンにおいて「企業絞り込み時期」の設問回答者の合計を「100」として、時期別の割合をそれぞれ算出

 

 

企業の絞り込み時期を聞いた調査では、2月までに全体の72.1%(昨シーズン比+1.8pt)となり、こちらも理系でやや前倒し傾向にあることがわかりました。昨年からは微増であるものの、年々早期化の傾向が続いていたこともあり、3月までに学生を惹きつけるアプローチの重要性は依然として高いことが窺えます。ここ数年でインターンシップが一般的になったことも大きく影響しているとみられ、インターンシップ後のフォローや継続した情報提供によって、学生を選考につなげる施策がカギと言えます。

 

 

継続的な接点としてのコンテンツマーケティングを考える

 

上記から、業界絞り込み時期・企業絞り込み時期ともにやや前倒し傾向であった結果がわかりました。スケジュールの早期化がここ数年続いていた中、2023シーズンでも理系でその傾向が表れていたものの、その加速傾向は一段落した様子が窺えます。早期化が加速していたシーズンでは、他社よりも早く学生にアプローチをすることやコンテンツを発信することそのものに重きが置かれていましたが、今後はそのスピードや手法だけではなく、その中身=自社ならではの戦略や応募者との接点設計が問われていくと考えられます。そのような中、継続的な接点として注目されるコンテンツマーケティング(コンテンツの定期的、継続的な発信を通じて魅力を訴求していくことに焦点をあてた仕組み)の重要性はさらに高まっていると言えそうです。

 

採用におけるコンテンツマーケティングでは、認知や印象の向上だけではなく、入社に結びつけることをゴールとした情報提供を行っていくことが求められます。そのためには、ひとつの情報や企業の側面をさまざまな切り口で、また選考・入社に向けた興味やワクワク感を醸成していくことが重要です。

 

例えば、「職種の醍醐味」という情報を伝える際には、その仕事内容ややりがいの羅列にとどまらず、プロジェクトストーリーや社員の声を交えてコンテンツ化する採用広報が一般的です。そこに、自社製品がメディアで取り上げられたことをニュース記事として配信する、部署で行った研修の模様を伝えるなど、大掛かりなコンテンツでなくとも、その他の情報をかけあわせる視点を取り入れることで、さまざまな企画が考えられます。これは内定者に対する情報提供においても同様で、「ユニークな福利厚生」を伝えるにあたり、そこから通ずる健康経営への考え方や自社で長く働くことの魅力を切り取るのもよいでしょう。「会社」「仕事」「働き方」という軸からブレなければ、折り重なる自社の側面を多角的に届けることにつながっていきます。

 

各社コロナ渦でのオンラインのノウハウも蓄積され、多様なアプローチが可能になった2024シーズン。応募者との接点設計には、自社の伝えたいことや戦略に合わせたマーケティングの考え方が重要と言えそうです。

 

 

関連する企業事例はこちら:

・採用活動こそ「最高の人材育成」人材開発の視点から提言する、Z世代の採用思想(株式会社シェイク 吉田 実氏)

・中小企業や無名企業にも、必ず勝機はある。自分なりの流儀で成功する“無手勝流”採用とは(前編)(雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生氏)

・中小企業や無名企業にも、必ず勝機はある。自分なりの流儀で成功する“無手勝流”採用とは(後編)(雇用ジャーナリスト 海老原 嗣生氏)


 

ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2022年10月号は、2023シーズンと2024シーズンのデータ分析や、特集「学生動向と採用コミュニケーション ――2023内定者データより」、三菱UFJ銀行様の採用戦略事例など、より詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2022年10月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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