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【コラム】最終的な採用成果を握る 早期「ではない」接点の重要性

RECRUITMENT

Published on 2024/02/16

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採用活動スケジュールは依然として早期化の傾向にあり、インターンシップや早期の選考の活発化に象徴されるように、応募者側も早期から情報収集や選考に向けての準備を開始し、早めに内々定を獲得したい、という意向が窺えます。しかしながら企業からは、「インターンシップから選考につながる応募者が意外と少ない」「早期の選考の内々定者の辞退率が高い」など、早期化による新たな採用課題を感じるという声も増えてきました。

 

そうした中、昨シーズンの振り返りをもとに自社にあった採用スケジュールや施策を調整し、試行錯誤を繰り返し改善を行っている企業の取り組みを伺うケースも聞かれます。その中には、早期の選考だけに注力するのではなく、年明け、そして採用広報の本来の解禁タイミングである3月以降に接点をもった学生を惹きつけ、採用を成功させている企業の事例も少しずつ聞かれるようになりました。

 

下のグラフは、2024シーズン本選考の最終面接合格者のプレエントリー時期を表したものです。最も多い時期は、6月で22.7%となっています。12月までの累計は58.2%と、最終面接合格者のうち、年内に6割近くがプレエントリーしていることがわかりますが、一方で、二番目に多いのは、3月で16.6%となっています。これは、選考を複数クール行い、新たな応募者層と出会うという企業側のスケジュールが背景にある一方で、学生側は、早期の選考を受けたあとに志望業界を見直した層や、部活や課外活動等で就職活動の開始時期が比較的遅かった層がいることが考えられます。ここをうまく惹きつけ、入社に結びつけることが、最終的な採用成果を大きく左右すると言えるのではないでしょうか。

 

2024シーズン本選考 最終面接合格者のプレエントリー時期

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[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24シーズン(2024年1月末日時点)において最終面接合格者が1名以上決定している企業様を対象とし、最終面接合格者がプレエントリーした時期について、各企業の該当者数を時期別に集計し、その割合を算出

 

では年明け、この3月にプレエントリーする応募者に向けて、企業はどのようにアプローチしていけばよいのでしょうか。この層のターゲットにはどのような人がいるのか、どのようなニーズを抱えているのかを考えてみると、最初の接点が遅い=まだ企業や仕事について情報収集できていない部分が多く、志望度が固まりきらない応募者が多くいる層であること、またここからスピード感をもって就職活動を進めていきたい層であることが推察できます。実際に、内定者アンケートのうち、3月プレエントリー者の〈就活を振り返って〉の回答をみると、「就活を始めた時期が周りより遅く気持ちが焦った」「(もう少し早く)社員さんに話を聞くなどの具体的な行動をしてもう少し気持ちを固めておく、または情報収集をしておくべきだったと感じる」などの声が寄せられていました。これらの声に対し、企業の打ち手は以下のようなものがあると考えられます。

 

一つ目は、わかりやすく会社の魅力を伝えるコンテンツです。インターンシップから接点をもっていた学生と比較して、時間の関係でリアルの接点よりもコンテンツで情報収集を行うと考えられることから、マイページ等でのコンテンツ施策への注力が有効と言えます。さらに、スピード感を重視する候補者が自らのタイミングで情報収集が行えるよう、いつでも興味をもったときに閲覧できるよう、常にマイページ上に公開しておくなどの工夫も有効です。

 

二つ目は、選考期におけるさらなる惹きつけです。特に志望度がまだ固まっていない応募者は、選考を通じて志望度が高まっていくケースが非常に多いとされています。成果発揮能力を見極めながら同時に惹きつけも可能な「コンピテンシー面接」を取り入れる、応募者と専攻や志向がマッチする面接官をアサインするなど、面接の接点でも惹きつけを意識したアプローチが求められていると言えます。

 

三つ目は、その惹きつけを内定後も継続することです。内々定者になってからもさらなる発見を促すことで、自社の魅力を伝えきれていないことによる内々定辞退を防いだり、入社後の不安を払拭することができます。スピードを重視した選考中には難しかった社員との接点をつくる、質問に答えるページやイベントを用意するなど、会社の魅力をさらに知り、納得感をもって信頼してもらえるしくみづくりを継続して行っていくことが重要です。

 

このように施策や工夫次第で、早期の接点だけに頼らず採用成功に近づくことができると考えられます。本格化する2025シーズンの本選考期に向けて、ご参考いただければ幸いです。

 

 

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ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2024年2月号は、2025シーズン本選考/2026シーズンに向けて学生動向、特集「すぐできる!採用分析の具体例」、企業インタビューなどより詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2024年2月号』

Profile

中久保 佑樹Yuki Nakakubo

株式会社ヒューマネージ HR AGE 編集長

大手人材支援会社にて採用支援事業に携わった後、2012年ヒューマネージ入社。大手企業を中心とした制作ディレクターを経て、現在は制作とマーケティングチームを統合した事業戦略グループの責任者および人事・採用ご担当者様へ向けた情報プラットフォーム「HR AGE」編集長を務める。


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