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【学生の動き】2023データから考える、“つなぎ止め”施策のこれから

Published on 2022/11/04

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各社2024シーズンインターンシップや本選考を見据えた動きが徐々に活発化する中、2023シーズンの振り返りを今後の施策に活かしていく企業の動きが見られます。今回は、2023シーズン本選考のデータから、応募者との関係育成に着目し、今後の施策を考えていきます。

 

 

歩留まり率は昨年と大きく変わらない結果に

 

歩留まり率

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[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、23・22シーズンに一次面接、最終面接を実施し、2022年8月中旬時点までに採用を終了している企業様
[算出方法]
各シーズンの一次面接と最終面接の歩留まり率(当該選考対象者のうち、選考に参加した学生の割合)を企業ごとに求め、全体/母集団規模別(2021年(22シーズン)9月末時点のプレエントリー数をもとに区分)の平均をそれぞれ算出

 

まず、2023シーズン本選考における歩留まり率(全体)は、一次面接は95.4%(昨シーズン比▲1.0pt)、最終面接は84.6%(昨シーズン比+1.4pt)となりました。いずれも昨シーズン同水準で推移しているほか、母集団規模による大きな差はみられず、さらに5000名未満の企業で区切っても、大きく変わらない結果でした。

 

最終面接合格者の22.3%が6月にプレエントリー

 

最終面接合格者のプレエントリー時期

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[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、23シーズン(2022年8月末時点)において最終面接合格者が1名以上決定している企業様
[算出方法]
各企業の最終面接合格者をプレエントリー時期別に集計して、その割合を算出

 

 

また、最終面接合格者のプレエントリー時期は、6月が最も多く22.3%、年内に58.0%がプレエントリーしていることがわかりました。最終面接合格者の多くが、早期からの母集団であることが窺えます。一方で3月も17.5%と6月に次ぐ数字であることから、タイミングを問わず、自社に興味をもった応募者をとりこぼしなく選考につなげていく重要性がみてとれます。

 

 

各社動き出しが始まる2024シーズン。応募者との関係育成がカギ

 

今回は、2023シーズンの一次面接・最終面接の歩留まり、最終面接合格者のプレエントリー時期のデータをお届けしました。歩留まり率は昨シーズン同水準であり、最終合格者は早めにプレエントリーしている事からも、早期に接点を持った応募者を次のステップに繋げていく、いわゆる「つなぎ止め」が今後も重要であることがわかります。さらに、「採用マーケティング(=マーケティングの考え方を採用活動に応用し、人を採用する仕組みづくりを行うこと)」の考え方が広がる昨今においては、ただ単に応募者を囲い込むのではなく、継続的な接点や一連のコミュニケーションを通じて関係育成を図っていくことが重要です。応募者の志望度を高め、企業との信頼関係を構築していくことで、歩留まり率の向上や内定辞退の防止にもつながり、入社後を見据えた取り組みが実現できます。

 

例えば、ある企業では応募者の属性やマイページのログイン回数に合わせて、ターゲティングした情報発信を行っているとのこと。プレエントリーして間もない学生には就職活動に役立つコンテンツを案内する、応募が少ない傾向にある職種にマッチする学生に対しては特別セミナーを実施するなど、自身のフェーズや志向性にマッチする企業であることを感じてもらうように工夫していると言います。

 

また、応募者との関係性を育むために、選考中から入社にかけて学生一人ひとりにメンターとして社員がつき、不安払拭や意欲向上のフォローを行っている企業もあります。内定後も同じ社員が窓口として寄り添う事で、学生は常に入社先の企業とつながっている実感を持つことができ、入社後の関係性を見据えたフォロー施策にもなっているとのことでした。

 

これらの事例からもわかるように、応募者との関係育成には、個人に寄り添ったアプローチを行うための「ターゲティング」や「連続性」が極めて重要であり、学生の企業や仕事への理解・関心度や選考フェーズ等のさまざまな要因に応じて、効果的なアプローチ施策が求められていると言えそうです。

 

各社母集団の形成が進む2024シーズン。企業と学生がよりよい関係性を育成し、維持するという視点で応募者との接点設計をご検討いただけますと幸いです。

 

 

最新の採用ご担当者インタビューはこちら:

・“超本気”の施策でマッチングを追求。リブ・コンサルティングの採用が学生に評価される理由(株式会社リブ・コンサルティング)

・「やりたいことを描く」採用活動の真意。三菱UFJ銀行のインターンシップ戦略に迫る(株式会社三菱UFJ銀行)

・リアル/マイページによる関係育成。YOMIKOのフェーズ別・採用マーケティング術(株式会社読売広告社)


 

ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2022年10月号は、2023シーズンと2024シーズンのデータ分析や、特集「学生動向と採用コミュニケーション ――2023内定者データより」、三菱UFJ銀行様の採用戦略事例など、より詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2022年10月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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