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Marketing Magazine

【企業の動き】2024シーズン本選考データから、職種別採用のこれからを考える

Published on 2023/05/12

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今回は、近年注目を集めている職種別の募集についてみていきます。

 

募集段階で職種が分かれている企業は半数以上

 

募集段階で職種が分かれているかどうか

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[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24シーズンにおいて募集段階で職種が分かれているかどうか決定している企業様(予定含む)
[算出方法]
募集段階で職種が分かれているかどうかについて、その割合を算出

 

まず募集段階で職種が分かれているかどうかについては、「すべての職種が分かれている」企業が39.3%、「一部の職種のみ分かれている」が21.3%、「どの職種も分かれていない」が39.3%という結果になりました。学生が初回配属先を重要視していることや「就社から就職」への意識の変化が囁かれる中、企業も学生やマーケットの傾向を反映し、学生の個人の強みや活躍フィールドを見出そうとする様子が窺えます。

 

 

職種が決定するタイミングは選考中から内々定時が多数

 

募集段階で分かれていない職種について:職種が決定するタイミング

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[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24シーズンにおいて募集段階で職種が分かれているかどうか決定している企業様(予定含む)
[算出方法]
募集段階で職種が分かれていない職種について、職種が決定する各タイミングの割合を文理職種別にそれぞれ算出

 

募集段階で分かれていない職種について、職種が決定するタイミングを尋ねたところ、文理ともに、「選考中から内々定時」が最も多い一方で、「入社時」、また「新入社員研修後」に決定する企業も一定数あることがわかりました。選考中、また内定後のフォローに注力する企業がこれまで以上に増加している中、面接や人事面談を通じて相互理解を深め、職種を決定しているようです。

 

 

職種別採用を行う企業の工夫はさまざま。自社にあった施策検討を

 

今回は、職種別採用の募集に着目したデータをお届けしました。募集段階で職種が分かれている企業は半数以上という結果となり、職種別採用が広まってきている様子が窺えます。

職種別採用を実施している企業では、職種別インターンシップ(オープンカンパニー含む)、職種別会社説明会など、採用フェーズごとに工夫を凝らした取り組みを行っているようですが、ここでは、その企業の事例をご紹介します。

 

■職種別インターンシップの実施

A社では、それぞれの募集職種別にワークショップ型のインターンシップを実施しています。あらかじめ職種が決まっているからこそ、具体的な仕事内容や会社で求められる役割や立ち位置を伝えることができ、体験型のインターンシップを通して職種理解につながっているとのことでした。

■会社説明会に加え、職種別説明会を実施

数十職種の募集を行っているB社では、全体・部門別・職種別の説明会をそれぞれ開催しているそう。全体の会社説明会では会社の概要や企業理念・社風などを、部門別説明会では職種を大きく分けた部門ごとに仕事の流れや各職種の関係性などを、職種別説明会ではより専門的な業務内容まで伝えています。応募者からは、説明会に参加するだけで会社全体が把握できると好評のようです。

■マッチングを向上させる「職種提案型面接」

C社では職種別採用を行う傍ら、適性検査や面接を通じて応募者により適した職種の提案を行うケースもあるとのこと。職種別採用では自分の希望する職種を選べる半面、応募者が自身の職務適性を正確に把握し、自分に合った職種を適切に判断しなければならないというリスクもあります。そのリスクを解消するために、企業は応募者の志望動機をヒアリングした上で、より活躍できそうな職種を提案し、応募者と職種のマッチングを図っているとのことでした。

■適性検査を活用した内定者フォロー

D社では、内定者に対して適性検査のフィードバック面談を行っています。選考時に受けてもらった適性検査の結果を踏まえて、入社後のキャリアについて話し合い、応募職種に対しての納得感や仕事のイメージを持ってもらうことに役立てていると言います。適性検査のフィードバックを内定者期間中の接点機会として活用している企業は多いようです。

このように、職種別採用を行う企業では、応募者とのマッチングの向上や応募者の入社後活躍のために採用フェーズや企業の特色に合わせた様々な接点設計を行っているようです。しかし、職種別採用やジョブ型を取り入れた雇用の在り方は、採用のみならず人事領域全般に関わるため、学生のニーズやマーケット動向をとらえながらも、なかなか踏み出せないという企業の声もきかれます。一部では「初回配属確約型採用」というかたちで、配属部署や配属地を決定しているというケースもみられます。

 

今後も動向を注視しつつ、自社にあった取り入れ方で、採用、そして入社後活躍に結びつく施策を検討していくことが重要と言えそうです。

 

最新の採用ご担当者インタビューはこちら:

・「もっと、アナログになっていく。」採用活動でも輝く、オーディオテクニカの感性(株式会社オーディオテクニカ)

・内定者の8割以上がインターンシップ参加者。東急住宅リースが目指す、学生との理想的な接点創出(東急住宅リース株式会社)

・グループ合同採用を取り入れ、進化を遂げる。富士フイルムイメージングプロテックの採用戦略(富士フイルムイメージングプロテック株式会社)


 

ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2023年4月号は、2024シーズン本選考 採用動向、特集「信頼関係を育む内定者フォロー」、付録コラム「採用×Chat GPTの可能性」などより詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2023年4月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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