MENU

TOP >  マーケットをよむ >  採用マーケティングの視点を取り入れた接点設計 ――2024シーズン本選考データより

Marketing Magazine

採用マーケティングの視点を取り入れた接点設計 ――2024シーズン本選考データより

Published on 2023/04/14

VIEW 506

今回は、2024シーズン本選考の最新データ(3月上旬時点)をみていきます。

 

学生のプレエントリー数は昨シーズンからやや減少

 

プレエントリー推移

画像2

[集計対象・算出方法]
24・23シーズンにi-webをご利用いただいている企業を対象とし、対象企業各社の2022年(23シーズン)9月30日時点のプレエントリー数を「100」として、24・23シーズンの10日ごと(上旬・中旬・下旬)のプレエントリー数の割合を算出

 

まず、学生のプレエントリーの推移をみると、3月上旬時点の累計で77.4%(昨シーズン比▲2.1pt)となりました。学生のプレエントリー量はやや減少傾向にあることが窺え、最終的な着地も昨シーズン比でやや減少することが推察される結果となりました。

 

 

本エントリー推移はさらに減少傾向に

 

本エントリー推移

画像2

[集計対象・算出方法]
24・23シーズンにi-webをご利用いただいている企業を対象とし、対象企業各社の2022年(23シーズン)9月30日時点の本エントリー数を「100」として、24・23シーズンの10日ごと(上旬・中旬・下旬)の本エントリー数の割合を算出

 

次に、本エントリーの推移をみると、3月上旬時点の累計で36.3%(昨シーズン比▲9.1pt)となりました。3月上旬の時期別は11.8%(昨シーズン比▲5.2pt)とプレエントリー推移と比較してより減少幅が大きく、学生の活動量は減少していることが窺えます。

 

 

応募者を本選考・入社に繋げる接点設計がカギ

 

今回の調査からは学生プレエントリー量はやや減少傾向、本エントリー量はさらに減少傾向にあることが窺えました。企業はこれまで以上にプレエントリーから本エントリーへ学生を選考につなげていく取り組みが重要と考えられます。

 

近年ではマーケティングの考え方を採用になぞらえて採用活動を行う「採用マーケティング」(参考記事:採用管理システムで描くマーケティングの現在)の動きが広まってきていますが、応募者を選考ひいては入社までつなげるための接点設計が採用成否を握ると言え、各社さまざまな工夫を行っているようです。

 

例えば、インターンシップを年に数十回行う企業では、インターンシップ参加者に対してログイン回数やコンテンツ閲覧回数をもとに応募者をセグメントし、メールアプローチの頻度やその内容を変えているそう。ターゲットを明確にした効果的なタイミング、効果的な内容での接点設計により、インターンシップ参加者の本選考参加率は年々向上していると言います。

 

また、ある企業ではインターンシップの内容企画の際に内定者に「企業との接点でこころが動かされた瞬間」についてインタビューを実施。自社にマッチする人材がどのような点に魅力を感じる傾向があるのかを把握し、それらを軸にプログラムを仕立てたそうです。プレエントリーしてくれた応募者にとって、自社が「興味のある企業」から「入社したい企業」に変わるきっかけとなるような魅力的な施策を考える上で、内定者の声の活用は応募者のニーズを把握するのに極めて効果的と言えそうです。

 

自社に興味をもってプレエントリーしてくれた学生を選考につなげるためには、応募者との接点を重ね、企業理解促進や魅力の伝達を行っていくことが不可欠です。ただ単に情報発信を行うだけではなく、応募者と長期的に信頼関係を育成し、「応募したい」「この会社で働きたい」と思ってもらうために、先にご紹介したような採用マーケティングの視点を取り入れることは有効と言えます。

 

さまざまな手法やツール、環境が整ってきている昨今、自社にあったやり方を模索しながら、選考につながるコミュニケーションを検討いただければ幸いです。

 

 

最新の採用ご担当者インタビューはこちら:

・「もっと、アナログになっていく。」採用活動でも輝く、オーディオテクニカの感性(株式会社オーディオテクニカ)

・内定者の8割以上がインターンシップ参加者。東急住宅リースが目指す、学生との理想的な接点創出(東急住宅リース株式会社)

・グループ合同採用を取り入れ、進化を遂げる。富士フイルムイメージングプロテックの採用戦略(富士フイルムイメージングプロテック株式会社)


 

ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2023年4月号は、2024シーズン本選考 採用動向、特集「信頼関係を育む内定者フォロー」、付録コラム「採用×Chat GPTの可能性」などより詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

画像4

 

 

出典:『Monthly HR AGE 2023年4月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


関連記事