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Marketing Magazine

採用×生成AIの可能性 ——“マーケター要らず”ではなく、誰もがマーケターの時代へ

RECRUITMENT

Published on 2023/06/16

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採用や就職活動における生成AIの活用が広がる昨今。採用ご担当者はこの現状とどのように向き合っていくべきか、議論が繰り広げられています。改めて生成AIとは、こちらからの問いかけに対してテキストや画像などで応答する人工知能システムの一種です。人間のように自然な対話できることはもちろん、長い文章の要点を簡潔にまとめることができたり、わかりやすい表現への変換やよりスマートな文脈に推敲してくれたりなど、クオリティの高い文章の生成に適しているとされています。これは、「既存の大量のデータベースをもとに、最も平均的な文章を生成する仕組み」によりできることであり、そのほかシナリオや歌詞、画像、HTMLコードなど、さまざまなデータをつくり出すことが可能です。

 

一方で、厳密に正確な情報を提示することや独創性のあるアイディアを生み出すこと、また個別の情報に対して最適化することは苦手だという声も聞かれます。しかしこの「一般的で無難な回答を作成する」という特性は、採用ご担当者が採用マーケティングを推進する際の武器として活用できるのではないか、とも考えられると思うのです。つまり、「平均的な応募者にあわせた、誰にでも伝わりやすい文章」を作成する生成AIの強みをうまく活用することで、「多くの応募者に伝わる企画やコンテンツのアイディアを得ることができる」ということです。

 

 

実際に、どのような活用ができるか、例をあげてみます(ここでは、Chat GPTを使用しています)。

 

①インターンシップ企画のヒントをもらう

まず、「あなたは企業の採用担当者、兼ライターです」と入力し、どのような視点で回答をもらうかを定義します。その上で、「○○を事業とする●●(自社)が開催するインターンシップについて、タイトルと企画を考えてください」と入力してインターンシップの企画案を要求すると、事業内容を盛り込んださまざまな角度のアイディアをもらうことができます。このままいずれかを選ぶというよりかは、さらに「どのようなシーンで使うのか」「どのような強みを伝えたいのか」を伝え、要望を重ねていくことで少しずつ自社ならではの内容に近づいていき、強力なヒントとして活用することができます。

 

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また、生成AIの多くは英語で訓練されたモデルのため、英語で答えてもらうことで、先進的な欧米の事例やより洗練されたアイディアをもらうことができるケースもあります。英語でもらった回答を翻訳してもらう、または別の翻訳ツールで翻訳するなど、さまざま試してみるのも良いでしょう。

 

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②「製品紹介」からインタビューの構成を作成する

社員インタビューのコンテンツを作成する際には、製品やサービスについて書かれた企業サイトが材料になります。「○○という製品について開発者にインタビューする際のヒアリングシートをつくってください」と打ち込むと、下記のようにさまざまな質問案をつくってくれました。ニュアンスが異なるものはさらに範囲を絞ったり、情報を追加で与えたりして、良い切り口のアイディアをもらうことができます。

 

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③既存のインタビュー記事のブラッシュアップ

既存のインタビュー記事をブラッシュアップするためのヒントをもらうこともできます。記事の内容をコピー&ペーストし、「よく理解できたことと、もっと知りたかったことをそれぞれ箇条書きで教えてください」と尋ねると、インタビュー記事に足りない要素を知ることができます。追加でインタビューするための質問項目をもらう、その際に、企業独自の特長やアピールしたい点も追加で伝えることで、自社に沿ったアイディアをもらうことができます。

 

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このように、誰にでも伝わりやすい内容や伝わりやすい文章が求められる採用コンテンツにおいては、生成AIを活用してさまざまなアイディアを得られることがわかりました。さらに、「○○業界において」「××の強みをもつ会社として」「△△職の魅力をPRするために」「まだ就労経験がない学生に向けて」など条件を指定することで、その領域における「伝わりやすい内容や文章」をもらうことができそうです。付け加えたい要素やキーワード、「もう少しカジュアルに」「優しいニュアンスで」といった要件を足していくことで、自社が求めるかたちに近づいていくでしょう。「AIの答えをそのまま利用する」「AIがあるからマーケターは必要ない」のではなく、「採用マーケターにとっての心強い相棒」として生成AIを活用することで、自社ならではの魅力が伝わる採用マーケティングを実践できるものと考えられます。

 

繰り返しになりますが、自社の“らしさ”を伝達できる表現やアイディアを手に入れるポイントは、生成AIにうまく条件付けを行うこと、得られた回答をベースに手を加え、無難なだけではない、自社のためのアウトプットを練り上げていくことにあります。重要なのは、生成AIによって得られた平均的な回答に対して、いかに指定範囲を狭め、条件付けすることで、自社らしいこだわりや実現したいことに沿わせていくか? を思考すること。あえて「欧米での事例を教えて」や「この文章に対して、もっと知りたいこと(=足りないこと)は何?」などと投げかけることで、より広がりのある使い方も期待できます。新しいツールで遊んでみるような気持ちで、生成AIを採用活動に取り入れることが必要だと考えます。

 

注)掲載内容は、記事掲載時点の生成AIに関する情報、およびChat GPTの仕様に基づきます。掲載内容はあくまでアイディアの一例であり、完全性・正確性・有用性・安全性等について、いかなる保証を行うものでもありません。ご利用につきましては、利用者様ご自身の判断にてお願い申しあげます。

Profile

中久保 佑樹Yuki Nakakubo

株式会社ヒューマネージ HR AGE 編集長

大手人材支援会社にて採用支援事業に携わった後、2012年ヒューマネージ入社。大手企業を中心とした制作ディレクターを経て、現在は制作とマーケティングチームを統合した事業戦略グループの責任者および人事・採用ご担当者様へ向けた情報プラットフォーム「HR AGE」編集長を務める。


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