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2023シーズン データ分析より——学生の本エントリー率におけるインターンシップの影響

Published on 2022/07/01

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2023シーズン本選考も佳境を迎え、各社動き出しが本格化する2024シーズンインターンシップ。今回は、2023シーズンのデータ分析から2024シーズンに向けた施策を考えていきます。

 

 

インターンシップ参加者は本エントリー率が高い傾向に

 

インターンシップ選考/応募状況別本エントリー率

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[集計対象]
i-webをご利用いただいている企業のうち、23シーズンに夏季もしくは冬季インターンシップを実施した企業様
[算出方法]
夏季・冬季インターンシップについて、合格者(選考あり)/不合格者(選考あり)/参加者(選考なし)/未応募者のそれぞれが、本選考に本エントリーした割合を集計し、その平均を算出。

 

 

 

まず夏季インターンシップについて、選考ありのインターンシップに合格した学生の5割近くが、本選考に本エントリーしていることがわかりました。対して不合格の学生の本エントリー率は2割程度にとどまっています。選考なしのインターンシップの参加者については4割、未応募の学生は1割強という結果になりました。夏季インターンシップに参加した学生は、参加していない学生と比較して、本エントリーにつながっているケースが多いことが窺えます。

 

次に冬季インターンシップについては、選考ありのインターンシップ合格者のうち、6割を超える学生が本選考に本エントリーしていました。不合格者においても3割以上と、どちらも夏季インターンシップの同条件における本エントリー率を上回っており、選考期に近い冬季インターンシップへの意欲が本選考応募に反映されていることが窺えます。選考なしのインターンシップの参加者についても5割以上と夏季インターンシップの参加者を上回る一方で、未応募者については、夏季インターンシップの未応募者の本エントリー率と同程度の結果となりました。

 

 

選考期に向けて中長期的な目線での接点設計を

 

今回の調査結果では、「そもそも興味がある会社のインターンに参加している」という見方もありますが、ここで重要なのは「インターンシップへの参加は、本選考を見据えた欠かせない要素である」ものの、「参加したからと言って必ずしも本エントリーにつながるわけではない」という点です。この背景には、学生のプレエントリー社数の増加やインターンシップの一般化が影響していることも考えられますが、企業は2024シーズン夏季インターンシップへの動き出しが始まりつつある現時点から、学生に対する選考期に向けたアプローチを中期的な目線で設計することが重要と言えそうです。

 

今後に向けた施策としては、次の3つが考えられます。

 

① インターンシップへの参加促進
早期からオープンしたマイページを活用し、イベント受付はもちろん、インターンシップへの期待度を高めていく試みが重要です。また、夏季から冬季にかけてつながりのあるプログラムや施策を企画するなど、「(他社ではなく)この会社のインターンシップに参加したい」と思ってもらえる仕掛けづくりと広報施策が必要です。

 

②参加者を確実に次のステップにつなげる
インターンシップ参加者に対しては、参加後のサンクスメールから次回イベントの案内、また自社への理解を深めていくようなコンテンツ施策による魅力付けを継続的に行っていくことが好ましいと言えるでしょう。インターンシップの期間中だけをともに過ごすのではなく、そこをきっかけに応募者と複数の接点を設けることで構築できる関係性がその後のカギを握ります。

 

③不合格者のフォロー
選考ありのインターンシップに参加できなかった学生に対しては、内容を追体験できるWebセミナーを実施する、オンラインの質問会を開催するといった施策が考えられます。また、「インターンシップを受けないと、本選考のエントリーができない(内定が得られない)」と認識している学生も一定数いることを想定し、事実を正しく伝えた上で、魅力付けを行っていくことが重要です。

 

企業ごとにその参加数や応募者層に応じた優先度を確かめながら、3つの施策をバランスよく行っていく必要があると言えそうです。

 

インターンシップに関する採用ご担当者のインタビューはこちら:
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ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2022年6月号は、2023シーズン/2024シーズン企業の動き、特集「採用CXの現在地」など、より詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2022年6月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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