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【2024シーズン】選考応募動向にみるこれからの惹きつけと見極め

Published on 2023/06/16

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2024シーズンの採用活動も終盤に差し掛かり、2025シーズンに向けた動きも本格化していく6月。今回は2024シーズンの選考応募に関する動きを学生/企業のデータをもとにみていきます。

 

選考応募推移|学生の活動量は減少傾向

応募推移

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[集計対象・算出方法]
24・23・20シーズンにi-webをご利用いただいている企業を対象とし、対象企業各社の2022年(23シーズン)9月30日時点の選考応募数を「100」として、24・23・20シーズンの10日ごと(上旬・中旬・下旬)の選考応募数の割合を、全体、2022年のプレエントリー数1万名以上/1万名未満別にそれぞれ算出

 

2024シーズンの学生の選考応募推移を見ると、5月上旬時点の累計で86.8%(昨シーズン比▲4.9pt)となりました。昨シーズンからは微減、コロナ前である2020シーズンからは大幅に減少しており、ここ数年での学生の活動量は抑えられていることが窺えます。この背景には、売り手市場の影響や早期からの絞り込みにより応募社数が減少していることが推察されます。また、母集団規模1万名未満の企業では71.9%(昨シーズン比▲17.4pt)と大幅に減少しているというデータもあり、特にプレエントリー数の少ない企業で学生の本エントリーが減っていることがわかります。マイページの0回ログイン者へのアプローチに注力する、業界の認知向上を目的に他社とも協力してイベントを行うなど、有効母集団形成のための施策を検討するケースが多くみられています。

 

選考応募のファーストステップはエントリーシート使用が多数

選考応募のファーストステップ|文系職種

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選考応募のファーストステップ|理系職種

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[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、24シーズンの選考応募のファーストステップ(本エントリー条件)が決まっている企業様(予定含む)を対象とし、条件の組み合わせの割合を文理職種別に算出

 

続いて2024シーズンの本選考のファーストステップ(本エントリー条件)について、最も多いのは文系が「エントリーシート+適性検査」、理系が「エントリーシート」という結果になり、「エントリーシート」を本エントリー条件として利用する企業の割合は文系理系ともに7割以上となりました。そのほか、「説明会の参加・視聴」や「動画面接」を組み合わせている企業もありました。

 

最近では生成AIの広がりにより、エントリーシートでの活用の懸念も聞かれますが、企業は、想いや考えだけではなく行動事実や自社の事業に沿ったアイデアを聞く設問にする、文章力だけではなく、記載内容の自社とのマッチ度合いや過去のエントリーシートからの剽窃(いわゆるコピペ)の有無をチェックするなどの工夫をしているようです。

 

 

ツールや手法を組み合わせ、応募者の惹きつけと見極めを

 

今回の調査からは、ここ数年での学生の活動量の減少と、選考のファーストステップとして「エントリーシート」や「エントリーシート+適性検査」を実施する企業が多いことが窺えました。

 

エントリーシートは、面接の材料を予め集めるのに重要な手段であるほか、学生の自己理解・企業理解を促進するというメリットもあり、各社有効に活用している様子がみてとれます。生成AIの広がりによる懸念の声も聞かれますが、想いや考えだけではなく過去の行動に沿った「事実」を掛け合わせた設問にすることで、応募者自身の回答を引き出すよう工夫している企業もあるようです。

 

さらに、適性検査や動画面接と掛け合わせることで、能力や性格、人となりなどを確認する、面接ではエントリーシートに記載された内容を深掘りするコンピテンシー面接を行うなど、エントリーシートだけでなくさまざまな視点から見極めを行っている企業の事例も聞かれます。

 

さまざまな背景やツールの登場により、年々難易度が増す近年の採用市場。求める人材の獲得に向けて、母集団形成のための惹きつけと精緻な見極めの両面から、改めて戦略立案が求められていると言えます。

 

最新の採用ご担当者インタビューはこちら:

・マッチングと情報提供を追求する接点づくり。SBCメディカルグループの独自イベント設計(ランジェコスメティーク株式会社)

・職種別インターンシップで、定着率を劇的に改善。創立100年を機に進化するGlicoの採用戦略(江崎グリコ株式会社)

・対面選考+適性検査でスクリーニングに成功。学生に迎合しない、ハウスメイトグループのマッチング戦略(株式会社ハウスメイトパートナーズ)


 

ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2023年6月号は、2024シーズン本選考/2025シーズンインターンシップ 採用動向、特集「採用コンテンツの“編集力”」、企業インタビューなどより詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2023年6月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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