Marketing Magazine
【2025シーズン】採用充足/内定辞退状況
RECRUITMENT
今回は、2025シーズン本選考の採用充足状況と内定辞退状況についてみていきます。採用充足状況は、採用活動の開始(母集団形成)から最終的な着地がどのような状況であるかを示し、内定辞退状況は、接点をもった応募者の動きや企業側のつなぎ止めの効果を示しています。
採用充足状況は「100%以上」充足の企業が減少
採用充足状況(10月末日時点)|文系
採用充足状況(10月末日時点)|理系
[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、25シーズンの採用充足状況が判明している企業様を対象とし、10月末日時点の採用充足率(内(々)定を出した人数[辞退者除く]÷採用目標人数)を文理職種ごとに集計して、全体、企業群別にそれぞれ算出
〇企業群別:以下の4つに分類
・カテゴリーⅠ:2024年3月発表のキャリタス就活就職希望総合ランキング200位以内の企業群
・カテゴリーⅡ:2024年(25シーズン)9月末日時点のプレエントリー1万名以上、かつランキング外の企業群
・カテゴリーⅢ:同5000名以上1万名未満、かつランキング外の企業群
・カテゴリーⅣ:同5000名未満、かつランキング外の企業群
10月末日時点の内定充足状況は、上記の通りとなりました。2024シーズン同時点の全体と比較すると、「100%以上」充足している企業が減少し、目標未達成が多い状況であることから、学生の応募の絞り込みや選考途中の辞退によって苦戦していることが窺えます。
内定辞退状況は昨年と比べて「50%以上」の企業が増加
内定辞退状況(10月末日時点)|文系
内定辞退状況(10月末日時点)|理系
[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、25シーズンの内定辞退状況が判明している企業様を対象とし、10月末日時点の内定辞退率(内(々)定辞退者数÷内(々)定を出した人数)を文理職種ごとに集計して、全体、企業群別にそれぞれ算出※企業群別の区分は採用充足状況と同様
一方で内定辞退状況は、2024シーズン同時点の全体と比較すると、文理職種ともに「0%~25%未満」の割合はおおむね変化がなく、「50%~75%未満」が増えていることがわかります。今シーズンは学生から辞退の連絡がくるタイミングが遅く、内定式後にも発生したという声も多くありました。この事象は大手企業からも聞かれ、先述の課題に加えて、内々定者フォローを長期に渡っていかに実施していくか、ということの重要性は、企業規模にかかわらず再認識されているのではないでしょうか。
◆◆◆
今回の2025シーズン採用充足/内定辞退状況調査より、最終的な内定者の獲得に苦戦されている企業が増えている結果が窺えました。
実際の企業様の声を伺うと、「昨シーズンも目標通りに充足させることが難しかったため、当初から秋以降も採用を実施することを見越して動いている」といったケースがいくつか聞かれました。また、内定辞退が発生した際には、先述のように秋以降の採用を実施したり、キャリア採用での拡充を目指すなどしているケースもあるようです。
本格的な開始間近となった2026シーズンに向け、自社の状況をマーケット傾向と比較しながら、当初の予定通りとならなかった場合の対応策や切り替えるタイミングを、今一度確認しておく必要があると言えそうです。
最新の採用ご担当者インタビューはこちら:
・共感を生む接点——東京電力のミッション志向型採用。対面によるコミュニケーションが果たす役割(東京電力ホールディングス株式会社)
・母集団が前年比1.5倍に増加。大気社の攻めの戦略(株式会社大気社)
・企業理解を深め、内定承諾率を大幅向上。オーテックの内定者フォロー戦略(株式会社オーテック)
ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2024年12月号は、2025シーズン/2026シーズン/2027シーズンの企業・学生の動き、特集『伝える/伝わる 自社らしさ』、企業インタビューなどより詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。
出典:『Monthly HR AGE 2024年12月号』
Profile
池尻 亮介Ryosuke Ikejiri
株式会社ヒューマネージ コンサルタント
信州大学卒業後、東京学芸大学大学院にで心理学を専攻。その後、政府機関における学力調査等の分析に従事。ヒューマネージ入社後は、採用活動に関する企業動向を中心としたデータ分析・統計の業務を主担当とし、企業の支援を行っている。