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Marketing Magazine

【2025シーズン】企業データで見る、近年のインターンシップの潮流

RECRUITMENT

Published on 2023/05/26

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今回は、2025シーズン向け夏季インターンシップに関する企業データから、近年のインターンシップ、そしてその後の関係育成の在り方をみていくとともに、今後の取り組みを考えていきます。

※本記事では、昨シーズンと比較する分析の都合などから、タイプ3(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)だけでなく、産学協議会が示すタイプ1(オープン・カンパニー)やタイプ2(キャリア教育)を含め「インターンシップ」と表記します。
参考:産学産学協働による自律的なキャリア形成の推進 【概要】

 

2025シーズンインターンシップ、1日間実施が7割以上

実施時期

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[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、25・24シーズンの夏季インターンシップ(6月~9月)の実施期間が決定している企業様(予定含む)を対象とし、時期別の割合を文理職種ごとに算出

 

上のグラフは、2025シーズン夏季インターンシップにおける実施期間を調査したものです。まず実施期間は1日間が最多で、文系で79.8%(昨シーズン比▲3.2pt)、理系で74.5%(昨シーズン比▲5.5pt)という結果となりました。やや微減の傾向がみられますが、2025シーズンにおいても、インターンシップの実施期間は大きく変更がないことが窺えます。しかしこのデータは4月上旬時点のものであり、2024シーズン本選考が落ち着いたタイミングで、各社さらなる検討が行われる可能性もあります。

 

実施方法はオンラインが最多

実施方法

画像2

[集計対象・算出方法]
i-webをご利用いただいている企業のうち、25シーズンの夏季インターンシップの実施方法が決定している企業様(予定含む)を対象とし、方法別の割合を文理職種ごとに算出

 

続いて、インターンシップ実施方法では、オンラインが最も多く文系で54.6%、理系で39.7%となりました。特に仕事・業界研究等を目的とした1日のプログラムは、オンラインで開催する企業が多いようです。対してリアルは文系で17.5%、理系で24.1%と、理系でやや多い結果となりました。これは実際の技術や研究に触れてもらうことを目的に、理系では職種や分野別のインターンシップが多く実施されていることが考えられます。

 

 

 

学生のキャリア形成に向けて、プログラム設計に求められる視点とは

 

上記の調査から、2025シーズンのインターンシップは、昨シーズンをベースとしながら、各社様子をみて取り組んでいくさまが窺える結果となりました。産学協議会が示した報告書の中では、本シーズンインターンシップから従来のインターンシップが4類型に区分され、5日間もしくは2週間以上かつ実施期間の半分を超える就業体験が伴うもの(その他条件あり)をインターンシップと定義し、学生データや評価を採用選考でも活用できるようになります。

 

このような流れや採用活動の早期化が続くいま、企業はインターンシップの在り方の変化にも対応しながら、早期の接点の効果を最大化していく取り組みが求められます。インターンシップでの体験を通して、学生は自らの能力の見極めや実践力の向上を図り、その結果として、「選考に参加したい」「この企業に入社したい」という気持ちを段階的に高めていきますが、このプロセスが重要である背景には、昨今の主体的なキャリア形成への意識も影響しています。応募者側も学生のうちから自身のキャリアをしっかりと考えていく潮流が強まる中で、企業が採用時から(自社のアピールはもとより)学生の主体的なキャリア形成について考える機会を提供することは、ひいては入社後の定着や活躍につながると考えられ、この視点をもったプログラム設計が、インターンシップをさらに効果的なものにすると考えられます。

 

つまり、学生のインターンシップ参加を採用成果につなげていくためには、「囲い込み」という言葉では表されない、本来の意義や学生側のメリットを考慮したプログラムや接点設計が重要と言えます。具体的には、

 

①参加する意義を明確に感じてもらうこと
②プログラムを通して体験価値を感じてもらうこと
③参加後のアプローチで志望度を高めていくこと

 

の3点が重要だと考えられます。実際に、就職活動に役立つ自己分析・業界分析のやり方を伝えるワークや、自社だけではなく業界全体のことがわかる講義など、学生のメリットも重視したプログラムがよく聞かれるほか、短い開催期間でも実業務に近い体験を通して働くイメージの醸成してもらうなど、各社工夫を凝らした取り組みを行っているようです。

 

企業/学生双方にとってインターンシップの存在感が大きくなっているいま、学生が主体的に企業理解を深め、「ここで働きたい」と考える入口をつくるために、一連のプログラムの在り方を改めてブラッシュアップするタイミングがきていると言えそうです。

 

 

 

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ヒューマネージでは、毎月の採用動向をまとめた『Monthly HR AGE』を発行しています。2023年5月号は、2024シーズン本選考/2025シーズン夏季インターンシップ 採用動向、特集「2025シーズン向け 企業データでみるインターンシップの現在」、企業インタビューなどより詳しいマーケット情報やお役立ち情報をお届けしています。レポートの詳細、ダウンロードは以下よりお願い申しあげます。

 

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出典:『Monthly HR AGE 2023年5月号』

Profile

永野 史彰Fumiaki Nagano

株式会社ヒューマネージ コンサルタント

慶応義塾大学卒業後、保証会社で勤務したのち、桜美林大学大学院心理学研究科で臨床心理学を専攻。2019年にヒューマネージに入社し、企業の採用活動や適性アセスメント、タレントマネジメントにおける統計分析業務やサービス開発に携わる。臨床心理士・公認心理師(国家資格)・産業カウンセラーの資格を保有。


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