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Interview

製造業の“ありのまま”を見せる――
世界的部品メーカー・NOKが挑む、先進的採用

Published on 2021/05/10

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Profile

池尾 並恵Namie Ikeo

NOK株式会社
業務本部 人材企画部
人材開発課長

2002年、NOK株式会社に入社と同時に人事部門に配属、以降、一貫して採用業務を担う。キャリアのスタートは一般職(エリア限定職)だったが、総合職への転換を経て、2020年には人材開発課長に就任。採用から人材育成・能力開発をマネジメントする。

「世の中を動かす、中の人です。」――そんなキャッチコピーを掲げて採用活動を行うNOK株式会社。そのコピー通り、一般の人の目に触れる機会は少ないものの、世の中に欠かせない製品に使われる部品を製造しているメーカーです。たとえば自動車などに使われているオイルシール(オイル漏れを防ぐ機能部品)では国内シェア70%、世界でも50%のシェアを誇り、スマートフォン等に使われる回路基板「フレキシブルサーキット」も国内メーカーとしてトップクラスのシェアを保持しています。文字通り世界水準の技術を持つ優良メーカーですが、採用市場においては「学生からの認知度が低い」というB to B企業ならではの課題も。これを乗り越えるべく、「他社とは違う企画に挑み、ありのままのNOKを伝えたい」と抱負を語るのは人材開発課の池尾並恵様。B to Bメーカーならではの採用戦略についてお話しいただきました。

B to Bメーカーだからこそ、他社とは違う採用戦略が必要

貴社の採用サイトのトップには「世の中を動かす、中の人です。」というキャッチコピーが使われています。実際、世の中に欠かせない製品を多数製造し、高いシェアを獲得しているそうですね。

はい、自動車などで使われるオイルシールという密封部品では世界トップシェアを保持しています。当社はもともと日本オイルシール工業株式会社という社名だったのですが、この頭文字を取ってNOKとなりました。現在では、オイルシール製造で培った技術を基に、様々な業界の幅広い部品に挑戦し、たとえば、建設機械の油圧部分で使われる「パッキン・Oリング」、パソコンやスマートフォンなどで使われる「フレキシブルサーキット」など、多岐に渡る分野で当社の製品が活躍しています。機械が安全に動くために欠かせない重要なものですが、いずれの部品も小さく、外からは見えません。採用市場における学生からの認知度は、残念ながら高いとは言えないのが現状です。

認知度アップや学生との接点拡大は、多くのB to B企業が課題とされている点ですね……。貴社ではそうした課題に対し、どのように取り組まれているのでしょうか。

他社とは異なる採用企画を模索し、チャレンジすることを常に心がけています。私自身が流行をキャッチして取り入れるのが好きだから、という面もあるかも知れませんが、時代とともに学生のスタイルが大きく変化しています。その変化に柔軟に対応できるよう、新しいことに挑戦し続け、今の学生の指向に合わせた施策をいち早く取り入れたいと考えています。

例えばどのような施策を取り入れられているのですか?

例えばWebセミナーは新型コロナウイルスの流行前から準備を進めていました。今の学生はWebの活用が当たり前になっていますし、遠方在住で説明会に参加したくてもできない学生のために動画コンテンツを配信したいという想いがありました。2020年は偶然、感染拡大と時期が重なったため、結果的にはコロナ禍の中で出遅れずに採用活動を進めることができました。

まさにタイムリーな施策でしたね。Webセミナーの内容はどのようなものでしたか?

動画配信は若い人に対して有効である一方、長い動画は最後まで見てもらえないだろうという予測もありました。そこでヒューマネージ社に協力していただき、コンパクトに要点を絞った映像を制作しました。15分間の企業紹介に次いで、社員の座談会を流すというものです。座談会は良い意味でラフな印象のコンテンツに仕上がり、自然体の社員を映すことができたおかげで、学生からも「座談会を見て興味を持った、こういった先輩と一緒に働きたい」という声を多くいただきました。

実務型インターンシップで、リアルな現場を開示

Webコンテンツの活用は、かなり以前から積極的に行われていたそうですね。たとえば採用サイトで遊べるゲームが好評だとか。

もう10年以上前から、エントリー学生向けにゲームコンテンツを制作し、現在は「仕分けを止めるな」というタイトルのゲームをマイページ上にアップしています。次々と表示される自動車やスマートフォンといったモノに対し、当社のオイルシールが使われているかどうかをイエス・ノーで判定するという非常にシンプルなゲームです。

遊びながら貴社のビジネスを理解するのに役立つゲームというわけですね。

企業のPRというよりは、「就職活動の息抜きとして学生に楽しんでほしい」という気持ちのほうが強いかも知れません。実際、シンプルなゲームですがハマる人はけっこうやり込んでくれているみたいです。ゲームをするためだけにサイトに来る人がいてもいい、というのが私たちの考えです。

なぜそこまで「楽しませる」ことを重視されるのですか?

「B to Bの部品メーカー=地味」「古い企業=堅苦しい」といった学生のイメージを覆したいからです。だからといって、製品や技術の魅力をカッコよくPRするといった、他社と同じやり方では勝てませんし、当社の社風とは違う。それなら当社らしく行こう……というわけで、ゆるく楽しんでもらうコンテンツを作ったわけです。当社の砕けた一面も、ときには悪いところも、すべてをありのままに見せていこう、というのが当社の採用広報のスタンスです。

RJP(Realistic Job Preview=現実的な仕事情報の事前開示)手法も取り入れた、誠実なスタンスですね。

仮に良いところばかりPRして良い人材を採用できたとしても、入社してギャップを感じた方は苦しい思いをし、会社を辞めてしまうことになるかもしれません。そういうことは避けたいし、せっかく縁があってご入社いただいた方にはなるべく定年退職するまで一緒に働いてほしい。そのためにも、たとえばインターンシップも、あくまで当社のPRではなく、当社のリアルを知っていただけるよう工夫しています。

インターンシップはどのような内容なのですか。

技術系学生向けに、実践型の2週間のプログラムを実施しています。参加者には事業場や研究所などの職場に入っていただき、先輩社員と一緒に働いていただきます。本物の業務を通して、社会人として働くということを体験いただきます。

近年のインターンシップは、会社紹介がメインのものや、グループワークで疑似的に仕事を体験するものも多くありますが、貴社では文字通りの仕事体験ができるのですね。

もちろん1dayインターンシップでメーカーの仕事を理解いただくようなプログラムも用意しておりますが、2週間のプログラムについては、当社の仕事や社風を知っていただくには、実際に現場で社員と一緒に働くのが一番効果的だと思います。グループワーク型のインターンシップに慣れている学生の中には「厳しい」と感じる方もいるようですが、ほとんどの参加者からは「仕事の難しさやアプローチの仕方など具体的な仕事内容を深く知ることができた」という意見をいただいています。また、先輩社員の人柄にも触れることができ、ありのままの社風を伝えることができていると思います。

2020年度のインターンシップについてはいかがでしょうか。

例年、カードゲームを利用したB to Bメーカーのビジネスモデルを理解するプログラムや、社員研修の一つであるプレゼンテーションを学ぶプログラム、工場見学を通してモノづくりを理解いただくプログラムなどを用意しておりましたが、新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ、開催はすべて見送りとなり、新たにオンラインで実施するプログラム(先輩社員との座談会やオンライン工場見学など)を開催しました。尚、夏期においては、技術系学生向けに、実践型の2週間プログラムを例年よりは参加人数を縮小して開催しました。もちろん、現場での感染対策、健康管理を厳重に行った上です。

大学からも好評の「オンライン工場見学」

今後は採用におけるオンライン技術の活用が一層進むと思われますが、貴社はどのような採用方針をお考えですか?

リアルとオンラインの両方の利点を取り入れ、ハイブリッドの採用活動を模索していきたいと考えています。学生に直接会えないのは残念な部分もありますが、オンラインを使用したコミュニケーションにも多くのメリットがあると思います。特に場所の制約から解放される点はかなりありがたいですね。当社には東京本社の他にも、神奈川県には研究開発拠点があり、そして福島県や熊本県などには工場があり、全国各拠点をオンラインで結び学生にお見せすることも可能となりました。

実際にそのような企画を実施されたのですか?

はい、内定者の大学教授から授業の一環として実施している工場見学をオンラインで開催してくれる企業を探しているという話を受け、会社PRの良い機会と考え、当社では初めての試みですが実施いたしました。

反響はいかがでしたか?

非常に良かったです。学生の皆さんはもちろん、先生方からもお褒めの言葉をいただきました。というのも今はコロナ禍の影響で工場見学を受け入れる企業がほとんどなく、機密の多い工場の映像をオンラインで公開する企業は少ないからです。もちろん当社も工場のすべてを見せられるわけではありませんが、公開できる範囲で見てもらいました。製品が誕生するまでのモノづくりを見ていただくことは重要ですが、学生にとっては、より実際の仕事風景に興味があるだろうと考え、先輩社員による業務のデモンストレーションをライブ配信したのも大変好評でした。学生時代に学んだ知識がどう現場で活かせるかがわかり、興味を持っていただけたようです。

素晴らしい試みですね。他社との差別化にもつながりそうです。

そうですね。製造現場、研究現場の映像公開は大手メーカーほど難しい傾向があるので、「ありのままに会社を見せる」という当社の方針を貫くことで、少しでも学生に魅力を伝えることができればいいな、と思っています。

最後に、池尾様の採用の仕事への想いをお聞かせください。

毎年たくさんの学生にお会いして話をすることは、自分自身にとってもすごく良い勉強になっていると感じます。時代の流れと共に変化する学生の価値観に触れ、知見を広げることは、この仕事の大きなやりがいの一つです。また、入社された方々の成長を目にすることも、採用担当ならではの喜びですね。私の場合15年以上採用の仕事を続けていますので、かつて自分が採用した新入社員が今では立派なマネージャーになっていたり、全国のさまざまな拠点で勤務している社員と出張時に再会して「お久しぶり」と声を掛け合ったり……。彼らが生き生きと働いている姿を目にするたびに、「採用して良かったな」と思えます。残念ながら退職する方もいますが、中には退職後も連絡をくれる方もいて、一度つながった人との縁に励まされるばかりです。これからもたくさんの人に出会い、当社の仲間になってもらうために、時代に合った新しい採用戦略に挑戦し続けたいと思います。

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